コルドバ歴史地区(スペイン)

アンダルシアは夏が猛暑になるため、建物は白壁、中庭を持っていて風通しをよくし、暑さをしのいでいたという。
迷路のような入り組んだ道の中で「「花の小道」と呼ばれる一角がある。白壁に、植木鉢がかけられていて、いつも花が咲いている。住民も鉢の色をそろえるなどして「街づくり」に協力している。

いよいよ、長方形の外壁に囲まれたメスキータに入る。北側にある「免罪の門」をくぐると、すぐに庭が広がっている。目に付くのがオレンジの実をつけた木。その通りに「オレンジの中庭」という。
このオレンジ、おいしそうなのだがそのままでは苦くて食べられないそう。葉を見ると、根元近くがくびれていて、ひょうたん型というか、小さい葉と大きい葉が連結しているような形をしているのが苦いオレンジの見分け方。取っても無駄なので見るだけにした。

メスキータ内のオレンジの中庭

イスラム建築の傑作の中へ

振り返ると、免罪の門の隣に塔が立っている。これはモスクの時代にはミナレットだったものだ。

メスキータはスペイン語で「モスク」の意味。名前はそのまま残ったが、モスクだったこともあって、イスラム建築の中でも傑作と言われるこの建物に対して、キリスト教徒はアルハンブラ宮殿のように最小限の改修にとどめることはしなかった。
メスキータの外壁にはたくさんの扉があったと思われる枠が残っているが、そのほとんどは塗りつぶされている。「モスクは扉を開けて中を明るくしていますが、キリスト教の礼拝堂は扉を閉じて中を暗くしないといけないので、扉をふさいでしまった」とガイド。

塞がれた扉が並ぶメスキータの壁

1つ残っている「栄光の門」から中に入った。すでに、メスキータの特徴である白と赤のアーチが、門を支えている。

確かに暗い。入ってすぐに、堂内に林立する柱が目に飛び込む。柱の上部は、赤と白のストライプが入ったアーチになっている。これが、イスラム建築の傑作の1つ、メスキータの円柱だ。

メスキータは最初につくられた後、3度増築されている。入ってすぐの所は一番最初、アブデラマン1世が758年に建設した部分(黄色=下図参照)。床下には、この場所に立っていたキリスト教のサン・セバスチャン教会の床が保存されている。

林立する赤と白のストライプの柱

「711年にコルドバに入って以降、しばらくイスラム教徒は教会の一部を借りて礼拝に使っていました。人口の増加などもあってモスクとして手狭になり、キリスト教徒に頼んでこの土地を買い取り、メスキータを建てました。奪い取ったものではないところが重要です」とガイド。床にガラスがはめ込まれた一角から、元の教会の床にあったモザイクを見られる。

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