コルドバ歴史地区(スペイン)

大聖堂天蓋の装飾

スペイン王の後悔

改築後、初めてメスキータを見たカルロス1世は「私は大変なことした。いくらでもつくれるもののために、世界にたった1つしかない貴重なものを壊してしまった」と、後悔したという。
ただ、大聖堂もかなりの芸術性がある建築であることは確か。暗くなった以外はメスキータ本来の雰囲気を損なわずにつくられているので、初めて見た人は違和感なく受け入れられ、そうした「歴史」に気づかないかもしれない。

イスラム教、キリスト教が戦いの中にあっても、キリスト教の高位にあるはずのここに来た司教以外は、お互いの宗教、文化、芸術を認め合ったおかげで、いまも人々を魅了する建物が生き残った。
トルコでは逆にキリスト教の大聖堂をそのままモスクに転用したアヤソフィアがあり、キリスト教の宗教画も破壊せず漆喰で塗り込めただけで残した。
宗教が違っても人間としての価値観は同じだった人が多かったのだろう。当時のイスラム教徒、キリスト教徒が、現代の所業を知ったらどう思うのだろうか。

1984年登録

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