プリトヴィツェ湖群国立公園(クロアチア)

プリトヴィツェ下湖群~コジャック湖~プリトヴィツェ上湖群

朝、公園に隣接するホテルのバルコニーに出ると、ひんやり冷たい風と細かい雨。霧も少し出ている。ちょっとがっかりしながら、公園入り口に向かった。
中国の九寨溝と並び称される水の絶景を見に2009年、行ってみた。紅葉・黄葉の時期だった。

雨の中でも輝くエメラルド色の湖

レインウエアを着て、傘を差して歩き出したが、空中を漂うような霧雨に傘はほとんど役立たずなので閉じた。
現地ガイドの案内でプリトヴィツェ(プリトヴィチェ)公園内に入る。細い山道を下りていくと、木々の間から下方にエメラルド色のカルジェロヴァツ湖が見えてくる。
日が差していたら…とは思ったが、晴れていたらまた違う景色、色彩になる訳で、考えないことにした。


奥にプリトヴィツェ滝が顔を見せる。湖のエメラルド色、滝と霧の白、周囲の森の紅葉…俯瞰して見える景色は雄大だ。天気が悪いのを忘れるほど見事なコントラストを描く。


カルジェロヴァツ湖を横切る木道を渡り、プリトヴィツェ滝の下にでる。落差約80㍍、ここでは一番の滝だという。
霧雨なのか、水しぶきなのか、区別は付かなかったが、レインウエアはぐっしょりになった。ただ、間近にきて眺めるよりは、周囲の景色と一緒にみる俯瞰の風景の方が、この滝の良さがわかるかもしれない。

階段状に連なる湖と滝

木道まで戻り、そこから川や滝を遡るようにして歩く。この公園は石灰岩でできた谷間を流れる水によって、溶け出した石灰(石灰華)が落ち葉などに付着し、積もって堰を作り、約8㌔にわたって階段状の16の湖とそれを92の滝や小川がつなぐという景観を生み出した。九寨溝と同じような構図だ。


滝や小川の数は水量によって増減しそうで、入り組んでいる流れもあり、どうやって数えたのかは分からないが、とにかく小さな滝はいっぱいある。これも数に入っているのだろうか。


湖群全体は大きく上湖群と下湖群に分かれており、今回は下湖群を歩き、中間にある一番大きなコジャク湖を船でわたって、上湖群の一部を見て歩くルートだった。

次々と現れる湖は、天気の影響もあって鮮やかという訳にはいかなかったが、湖をつなぐ小さな滝は個性的だった。
岩を細々と伝う滝、木々の間を縫うように流れる滝、落差が小さながらも「豪快に」流れ落ちる滝…さまざまな表情をつくっている。岸のすぐ近くには、湖でとれるマスが群れている。


雨はほとんど気にならなくなっていたが、公園内にたくさんいるはずの鳥のさえずりは少なく、その他の動物には残念ながら出合えなかった。


散策道の途中、岩に金属プレートをはめ込んだ碑がある。顔を浮き彫りにされているのはクロアチアの歌手ミルカ・トルニナで、1897年に首都ザグレブで公演した際の出演料をプリトヴィツェ湖保護整備協会に寄付した。
自然保護運動の走りのような女性で、近くにある、たらいから水があふれ出てくるような滝に名前を残している。

下湖群トルニナ滝

行楽地から戦場、そして危機を脱した

公園は19世紀ごろから行楽地だったという。1991年、クロアチア独立時の内戦ではセルビア人が立てこもって戦場になり、自然や管理施設などが破壊されたため、世界遺産の危機遺産リストに載せられ、登録を外される可能性もあった。
内戦終了によって逃げていた動物が帰ってきて、かつての水の輝きを取り戻した。


下湖群を2時間ほど歩いて、上湖群との境になるコジャク湖畔に到着。ここから船でさかのぼる。
船を待つ間、休憩所のコーヒーで体を温める。ここから船で細長い湖を渡る。上湖群は標高が下湖群より若干高いからか、船上から見る周囲の黄葉はかなり進んでいた。


上湖群の入口ブルゲティで降り、今度は上湖群をいく。木道脇を流れる川の水は澄み、触ってみたらかなり冷たかった。


木道と湖の間の木々が多く、下湖群よりも湖を見にくい印象はあった。水の色はこちらのほうが青が強いという。湖面に紅葉が映る。湖をつなぐ滝は下湖群よりは落差が大きい。


堰は年1㌢程度成長するといい、上流からこの湖群がつくられてきたとすれば、上湖群の堰は下湖群より大きくなっているということだろうか。たしかに湖自体は大きい。


上湖群はグラディンスコ湖から見て、カロヴァツ湖まできたところでバスの停留所へ。歩き始めてから約4時間。その先の上湖群の行き止まりまで行くと、全部で7~8時間の行程になるという。


ホテル方向に戻るために公園内を巡回している電動バスを待っていたら、雨が上がったためか、急速に濃い霧に覆われ始め、周辺の視界がなくなっていった。ギリギリセーフ、という感じだった。

1979年登録

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