バイカル湖(ロシア)


元は海だったこともあって、バイカル湖には世界で唯一淡水に住む「バイカルアザラシ」がいる。後で聞いたら、リストヴャンカのバイカル湖博物館で飼われている。本物は見逃してしまった。見たい人は博物館に寄ることをお勧めする。
人の多いところには野生のバイカルアザラシはまず出てこない。といっても、バイカル湖の周囲は2100㌔もあり、ほとんどは人が踏み入らないところらしいので、住む場所もたくさんあるだろう。本物ではないが写真だけでも。陸封された時に取り残されたアザラシのような固有種の動植物は1500種以上いるという。

バイカル湖に住むアザラシ

対岸の山並みの稜線は、雲と霞がかかっているが、意外とはっきり見える。連れてきてくれたデニスが「もっと奥に行ってみよう」と、湖岸の崖にある細い道を歩きだした。


手すりも何もない道で、滑り落ちたらすぐ下は湖。けっこう急な崖だ。行き止まりのようなところまで行って、湖の北の方を見渡す。細長い湖の奥はまったくわからない。湖の大きさを実感できた。


湖岸に戻って、流木を椅子に一服。湖を見渡す。ありきたりではあるが「時間がゆっくり流れている」という表現がぴったり。打ち寄せる波も小さく、湖岸の小石を洗っている。
ふと思い立って小石を拾った。石を見ると、白、赤、茶、黒、緑…さまざまな色の石が交じっている。


冬は氷点下30度を下回り、湖面は凍結する。透明度が高いだけあって、きれいなクリスタルのような氷になるという。「シベリアの真珠」と呼ばれる所以だ。湖上には車道ができ、道路標識も立てられる。
そんな冬の湖には悲劇の伝説がある。ロシア帝政からソ連に変わる頃、モスクワを脱出した帝政側の避難民120万人がシベリアを目指したが、寒さで次々に倒れ、バイカル湖畔についたのは25万人。その人たちも凍った湖面を渡る時に氷点下70度の寒波に遭って全員凍死し、春になって湖に沈んだという。いまも、湖で遭難すると発見される期待は小さいという。

シベリア鉄道に乗ってみよう

さて、バイカル湖の入口の大都市イルクーツクは「シベリアのパリ」と称され、街を歩くときれいな建物が並んでいる。

イルクーツクの街並み

  1. この記事へのコメントはありません。