エローラの石窟群(インド)
人の手で彫り起こした巨大寺院
バスでまたエローラの入口に戻る。駐車場から岩壁方向に歩いていくと、正面にヒンドゥー教第16窟、エローラでもっとも有名な「カイラーサ寺院」(Kailasa Temple)がある。
入口はそう広くないが、周囲の岩壁には彫刻がされている。ヒンドゥー教の神や女神なのだろう。
入ると、いきなり巨大な柱に出くわす。スタンパという石柱で、その後ろに本堂がある。
石の門をくぐると、今度は左右の壁面にシヴァ神の息子で象の頭をしたガネーシャ神や妻パールヴァティー神(ドゥルガー神)、富の神ラクシュミー神らの彫刻がある。
そして、目の前が開ける。巨大な中庭のようになった空間の中央には本堂(本殿)がある。ホールの周りには1段高くなった回廊が巡らされている。回廊に上がって、まず本堂の周りを時計回りに回った。
左手の回廊の巨大な柱の奥に「三大河の女神像」がある。ガンジス(ガンガー)、ヤムナー(ジャムナー)、サラスワティ―(サラスヴァティー)の3つの川の女神はそれぞれワニ、亀、象に乗っている。
ボルトのポーズはこの人が元祖?
回廊には彫刻や小さな堂が彫り込まれている。シヴァ神とパールヴァティー神夫妻のくつろいだ姿など「珍しい彫刻」(ガイド)も見られる。
シヴァ神が主で、象徴のリンガ(男根)も彫り込まれている。陸上のスーパースター、ボルトのポーズ? のシヴァ神。弓を引いている姿は今にも動き出しそうだ。
柱越しに本堂の壁も見えるので、右(反時計回りなら左)を見ながら歩こう。本堂の左側の壁にはインドの叙事詩「マハーバーラタ」の場面の精緻な彫刻が施されている。
本堂の後ろに回り込むと、本堂が「山」をイメージしてくくられているのがよく分かる。下には象の彫刻が何頭も並んでいる。本堂の右側に回り込んで回廊を降りる。
こちらの本堂壁面に今度は叙事詩「ラーマヤーナ」が彫り込まれている。その他にも、精緻な彫刻が本堂周辺の壁に所狭しと彫られている。
「山」を再現した寺院
本堂は高さ33㍍あるという。残念ながら、回廊など下からではどの角度からも全貌は見えず、日を浴びた頂上(?)付近が周りを囲む堂の間から見える。たぶん崖の上に行かないと見えないだろう。
カイラーサというのは、ヒマラヤにあるシヴァ神が住む山の名前だ。
道端で値切って買ったガイドブックなどによると、エローラ石窟群は6世紀から300年ほどかけてつくられたという。仏教窟からつくられ始め、7世紀ごろから並行してヒンドゥー窟、9世紀ごろにジャイナ教窟と造られた。
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