ビンベットカの岩陰遺跡群(インド)
ボパール~ビンベットカ
インドの中央部に、先史時代の岩絵が多数残っている遺跡がある。2016年、行ってみた。
インド中部の大都市ボパール(Bhopal、ボーパール)という街から車でサーンチーという仏教遺跡を見た後、ビンベットカ(Bhimbetka、ビームベートカー)に向かった。途中、インドの「ど真ん中」という碑を見ながら、高原を走る。ボパールから直接車で来ると1時間ぐらいだという。
樹木もまばらな丘を上がっていくと、大きな岩が点在しているのが見えてくる。入口、というか、門のようなものなく、警備員が車を止めてガイドと何やら話してから駐車場に入った。何かの許可をもらったのだろうか。
ロック・シェルターに描かれた絵
遺跡群に入る。まず、大きな岩がある。その下に、たぶん天然の岩窟。人間の像、家族の像があり、当時の人の様子を再現している。
トンネルのようなところ入ると、岩壁に向かって絵を描く人の像。遺跡群が始まる。
その岩肌のすべすべしているところに、手と動物、人間のようなものの岩絵がさっそく描かれている。
こうした絵が描かれた岩窟は「ロック・シェルター(Rock Shelter)」と呼ばれていて、地面にシェルター番号が書かれて表示されている。
「Zoo Rock(Rock Shelter4)」と書かれた岩に来た。動物園というだけあって、動物の岩絵が多数残っている。
槍をもって動物を追い立てているのは狩りなのだろうか。ここには動物が252、人が90描かれているという。「槍を持っている人は5000年前、その下の赤い絵は2000年前ぐらい」とガイドは言う。
下の赤い絵というのは動物を追い立てているような岩絵。飼育している場面にみえる。狩猟ではなく、牧畜に移行してきた時代ということだろうか。
赤、白、黄…色とりどりの岩絵
赤い砂岩の大きな岩が浸食されて自然にできた岩窟の壁や天井などに、ここに住み着いた人たちが絵が描いた。今は雨がそんなに降りそうもないような土地なのだが、雨や風を避けるようなところ「岩陰」に描かれている。
遺跡群の総面積は18.93平方キロと広大で、7つの地域に分かれていて、700以上のロック・シェルターが見つかっている。
ガイドによると、古いものでは3万年前、旧石器時代から描かれ始め、300年前ぐらいまでの長い期間、ここに住んでいた人たちによって延々と書き加えられてきたのだという。
白、赤、黄色など多彩な色をだす顔料は「このあたりで取れる自然のものからとっている」(ガイド)というが、よく残っているものだ。
最も多くのロック・シェルターがあるのがビンベットカで、243のロック・シェルターが見つかっている。その中の一部が公開されている。
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