ベツレヘム(パレスチナ自治区)

西エルサレム~パレスチナ自治区~ベツレヘム

仏教を開いた仏陀の生誕地を紹介したが、キリスト教の始祖、イエス・キリストの生誕地も世界遺産になっている。キリスト教世界でもっとも重要視されている教会の1つが、イエスが生まれた地に建てられた「聖誕教会(降誕教会)」。ベツレヘム(Beyt Leḥem)に2017年、行ってみた。

お辞儀をして入る小さな門

ホテルがあるエルサレム(Jerusalem)の新市街、西エルサレムからバスで1時間ほど。パレスチナ自治区の中にある。イスラエルとパレスチナの紛争のことが度々報道されていて、日本から行く際には「危険じゃないの?」と何人も言われた。行ってみないと分からないし、今の世界、新型コロナウイルスはもとより、どこにいても危険と言えば危険だ。

聖誕教会に近い駐車場でバスを降りたが、そんな危険な雰囲気は全くなかった。日本人は鈍感なのかもしれないが「ここでテロが起こることはないと思います」とガイド。それだけ重要なところなで警備も厳しいのだろう。

石積みの建物群が見える。入口は…門のようなものはない。ガイドについて石壁に向かって歩いていくと、右下に小さな出入口がある。

「元々は大きかったようですが、敵の侵入を防ぐためと、必ずお辞儀をして中に入るという意味がある」とガイド。敵とは、イスラム教徒のことだという。

教会に入ると、ちょっと残念。聖堂内は大規模改修工事中だった。

そこかしこに足場が組まれていて、壁のモザイクや柱が見えなくなっていたので全貌はよくわからなかった。聖堂の左右にある列柱も多くはカバーがかかっていたが、柱頭は少し見えていた。

祭壇の周りは何とかみられる(参拝できる)ようになっていたのがせめてもの幸い。この祭壇の下にある洞窟でイエス・キリストが生まれたのだという。

 

イスラムの侵入で壊されなかった教会

ベルレヘムの詳細は他に譲るが、聖書にも記されている古い街だという。聖母マリアはこの地の洞窟でイエスを生み、飼い葉桶に入れられ、訪れてきた東方三博士が対面した。

今回は行事があったのか、4~5時間待ちということでみられなかったが、生まれたとされる場所は地下洞窟に14芒星で示されているという。

ガイドブックによると、キリストが生まれた地として4世紀にローマ帝国でキリスト教を公認したコンスタンティヌス帝の母ヘレナが教会を建てたのが始まり。6世紀に今の建物が建てられた。当時のモザイクの床が残っている。

7世紀にペルシャが侵入して建物の大半が破壊されたが、「教会の壁にイエス・キリスト誕生の壁画があり、その中で描かれていた東方三博士の服装や顔がペルシャ人に似ていたので、壊されなかったとされています」とガイド。修復中のモザイクは残されている。

聖堂内のモザイク画

場所はパレスチナ自治区にあるが、教会自体はローマカトリック教会、ギリシャ正教会、アルメニア教会の3者が共同で管理しているという。

アルメニア教会の祭壇は豪華な装飾で飾られている。描かれているのはイエスとマリア、ペテロ、ヨハネら聖人たち。

一部見られる壁のモザイク画も金を使っているのか、きらびやかだ。

イエスが生まれた洞窟

ローマカトリック教会に入り、祭壇などを見てから地下に下りた。この地下は、イエスの時代は地上だったところで、洞窟が広がっている。その洞窟を囲むようにして聖誕教会は建てられている。

地下洞窟 ヨセフの祭壇

壁にのぞき穴がある。「ローマカトリックとギリシャ正教がけんかをして、壁を造ってしまったので、行き来できなくなった。向こうの様子を見るためののぞき穴です」(ガイド)。のぞいてみると、礼拝者と祭壇の一部が見えた。

地下洞窟の壁にあるのぞき穴

元々家があったといい、家畜小屋と一体になっていた。日本でいうと母屋と厩がL字型につながっている曲がり屋のような造りだったそう。イエスが生まれたのはその厩だったということなのだろう。どこに何があったかよくわからないが、雰囲気は味わえた。

 

聖書を世界に広めた人

ローマカトリック教会の地下にはもう1つ、ヒエロニムス(Hieronymus)という聖職者の部屋がある。聖書をラテン語訳で翻訳し「ウルガータ訳」と呼ばれるこの聖書は世界中に広まった。420年に没するまでここで聖書の翻訳をしていた。

ヒエロニムスは右から2人目

「ヘブライ語から訳したのですが、神の言葉を訳するのに苦労したといわれています」という。

ヘブライ語には母音記号がなかったため「神をエホバと読むのが分からなかったそうです。モーゼの頭から光が出たというところを角と誤訳もしたそうです。これを読んだミケランジェロがモーゼ像をつくった時に角をつけたといわれます」とガイド。

そういえば「ローマ歴史地区、教皇領とサン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂(イタリア、バチカン) 4大バシリカ(大聖堂)」で紹介したサン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ教会で見たミケランジェロ作のモーゼ像には角があった。

教会の前に広場にヒエロニムスの像が立っている。

現在の地上に上がった。ローマカトリック教会の祭壇には、生まれたばかりのキリストの像が飾られている。行ったのは2月上旬だったが、まだクリスマス期間中ということで置いてあった。普段は地下の祭壇に置かれているそうだ。

聖誕教会だけあって、クリスマス12月25日は大変な賑わいになるという。

 

2012年登録

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