アラブ・ノルマン様式のパレルモと、チェファル、モンレアーレの大聖堂(イタリア)
王が大司教に対抗した
入場すると、建物に入る前の廊下に銅像が建っている。1172年にこの大聖堂を建てたノルマン王のグリエルモ2世が大聖堂を神にささげている像だった。廊下の反対側には聖母像がある。
ラテン語の「モンレアール」(王の山)が語源で、当時パレルモのカテドラーレにいる大司教の力が強かったため「大司教の鼻をへし折るために、カテドラーレを見下ろす丘に大聖堂を建てた」(ガイド)のだという。
中に入ると、さすがにため息が出た。金色のモザイク画が壁一面に施されている。まばゆいばかり、というのはこういうことをいうのだろうか。シチリアのノルマン芸術の最高峰といわれるだけのことはある。
一番目を引くのは、やはり正面(後陣)中央にある「全能のキリスト」というモザイク画。これは大きい。
キリスト像の下には聖母を中心に、聖人や使徒、天使などが描かれている。
キリストのモザイクの左側には「グリエルモ2世の戴冠」というモザイクがある。キリストから直接王冠を授かっている。下の椅子は玉座なのだろうか。
サッカー場1つ分、世界一の面積のモザイク
グリエルモ2世は夢に聖母が出てきて「宝物を探しなさい」というお告げを受けて、この地に大聖堂を建てることにしたという。聖母像も豪華な装飾で囲まれている。
周りの壁にびっしりのモザイクの題材は、身廊と左右の翼廊を含め3段になっており、主に上段は旧約聖書、中段は新約聖書、下段はキリストの生涯やノルマン王の出来事などになっているそうだ。
身廊、翼廊は、高さ約40㍍、長さ約120㍍あるという。そこがびっしりと主に金色のモザイクで埋められている。「モザイクの総面積は6340平方㍍になります。ベネチアのサンマルコ寺院より大きくて世界一です」という。
モザイクは通常、色のついた石を小さく割って貼っていくが、金色のモザイクは「1㌢四方のガラスに金箔を貼ってモザイクにしています」(ガイド)という。
サッカー場ぐらいの広さに、1㌢四方のガラス片を絵にしながら置いていく作業は相当苦労したと思える。200人の職人が7年ほどで完成させたというから、かなり急ピッチだったようだが、出来栄えが素晴らしい。
文字を読めない人に聖書を教えた
聖書に詳しいとは言えないが、知っているようなところはある。旧約聖書の「ノアの箱舟」の場面は見つけた。
多分、口を開けて見上げていたのだろうが、分かる場面もある。アダムとイヴの場面もあった。
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