古都トロギール(クロアチア)

オパティア~ザダール~トロギール

小さな島全体が中世から時を止めたような街へ。2009年、行ってみた。

クロアチアのイストラ半島の根元にある街オパティアを早朝出発、ザダールという街を見て、トロギール(Trogir、トロギル)に向かった。途中、ダルマチア式海岸という、山地が海岸に並行して沈んで島になる独特の海岸線を車窓で眺めながら、10時間近くかかって夜、着いた。
1泊して翌朝。傘を差したり閉じたりの雨模様。トロギールは本土と運河で隔てられ、島のようになっている。街に入るために橋を渡り、北門から入った。門の上からは12世紀の司教で街の守護聖人「聖イヴァン・ウルスィニ」の像が見下ろしている。

北門

ちょっとユーモラスなアダムとイヴ

中世の街並みがそっくり残っているだけに、入り組んだ路地になっている。細い路地を抜けると、広場にでる。このイヴァナ・ノヴラ広場に街のシンボル「聖ロヴロ大聖堂(Katedrala sv.Lovre)」が建っている。
13~15世紀に建設され、鐘楼は17世紀に完成。おもしろいのは、1階がゴシック、2階がヴェネチアン・ゴシック、3階がロマネスクと3つの様式を積み重ねているのだという。

教会の入り口の彫刻が大切なものだそうだ。入り口左右の柱には、ヴェネチアのシンボル、ライオンが刻まれ、その上に右にアダム、左にイヴの像。ユーモラスな姿だ。

聖ロヴロ大聖堂のイヴ像

 

聖ロブロ大聖堂のアダム像

丸みを帯びた、ちょっと稚拙な造形のように見えたが、このあたりのダルマチア地方で活躍したクロアチアの彫刻家ラトヴァンによって13世紀に作られたものだ。
入り口のアーチにも人物像など彫刻が施されている。あまり写実的ではないが、クロアチアを代表する中世の傑作だという。

天の声が聞こえる気がする礼拝堂

聖イヴァン礼拝堂に入る。正面に街の守護聖人の石棺、壁には12使徒はじめキリスト教の聖人の彫刻で埋められている。


天井に注目。さかさまになって人差し指を立てている人物像が彫られている。こういうのは初めて見たが、特にだれということではないらしい。ガイドも名前を知らなかった。
なぜか、この人に「しっかりやれよ」と説教されているような気分になった。「天の声」なのだろうか。


聖イヴァンの聖遺物などが展示してある宝物室を抜けて、主祭壇へ。八角形の天蓋のある石造り。八角形は珍しい。13世紀に作られたものだという。


壁は石がむき出しで質素なつくりに思えた。モザイクやフレスコ画で覆い尽くす聖堂を、これまでいろいろな国でたくさん見てきただけに、少し新鮮だった。


もう1つの高い建物、高さ47㍍の鐘楼に登った。てっぺんには鐘がぶら下がっているが、それは当然か。街を一望できる。


クロアチアらしい、オレンジの瓦屋根が続く。この島は東西500㍍、南北300㍍。地図を見ると細長い六角形状をしている。


アドリア海に面しており、地中海への交通の要衝だったらしく、紀元前2~3世紀に古代ギリシャ人が建設し、ローマ、ヴェネチアなど支配者が変わってきた。
建築様式が多様なのも、時の支配者のさまざまな文化が取り入れられたからだという。

公正を旨とした市民は支配者にも歯向かう

大聖堂の建つ広場に面して、時計塔、市庁舎なども建つ。時計台は「聖セバスチャン教会」で、ロッジアと呼ばれる集会所を併設している。開放柱廊ともいうそうで、ここで集会や裁判を公開で行っていたという。

時計塔(左)と開放柱廊

壁のレリーフの中に、現代でも司法のシンボルにもなっている天秤をもった人が描かれていた。
日本の裁判所にもあるような、司法のシンボルでもある剣と天秤を持った「正義の女神」は、目隠しした女神ではなかったが、正義や公正さを求める気持ちは高かったのだろう。


海側にでると、大きな城のような建物が見えてくる。「カメルレンゴ要塞(Kula Kamerlengo)」。ヴェネチアが支配していた15世紀に建てられた。
トロギール市民がヴェネチアに対して反乱を起こしており、外敵だけではなく、内敵への守りでもあったらしい。それほど重要な土地ということなのだろう。


そこからまた北門へ向かって歩き出した。同じ道ではつまらないし、小さい島なので、途中で迷ってもたいしたことはないだろうと覚悟して路地へ。小さなレストランやホテル、ブティックなどが点々とある。

方向感覚はなくなる。やはり、道に迷った。バスに乗るための集合場所には、橋を渡る。土産物を売る店の人に地図を見せて、なんとかたどり着いた。

1997年登録

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