バイカル湖(ロシア)
ビール、ウオッカにバーベキューでほろ酔い加減になって、キャンプ場の木々の間から見える湖を見て「そうだ、バイカル湖だ」と思い出し、デニスらと湖岸に下りてみることにした。日も傾きかけている。夏だったので、日の入りは午後10時ごろ。いまは午後8時すぎだ。
バイカル湖の湖岸に下りた。小さな石の湖岸線が続く。夏なので「湖水浴」シーズンなのだろう。湖岸には水着を着た人もちらほら。こっちはフリースやら、ウインドブレーカーを着込んでいるのに。温度の感じ方が違うのだろうか。
水着は持ってこなかったので、裸足になって足だけ浸かってみたが、やはりけっこう冷たい。バイカル湖の水温は、夏でも10度ほどで、最高でも14度ぐらいにしかならないという。そこで泳ぐのだから、こちらの人は強い。
世界で最も古い湖が存在する訳
バイカル湖の歴史を少し。この湖が生まれたのは2500~3000万年前と言われる。日本海溝のような海溝が陸封され、長い年月をかけて淡水化した。世界には琵琶湖のようにできてから10万年以上経つ古代湖と呼ばれる湖があるが、バイカル湖は別格の古さだ。
普通は長くても数万年程度で流入する河川による土砂の堆積などで湖はなくなるそう。さすが元海溝で世界一の水深1600㍍以上を誇るバイカル湖はまだ当分埋まらないだろう。出来た時は相当の深さだったに違いない。
世界一の透明度は40㍍ほど。北海道の摩周湖が1930年に41・6㍍を記録してバイカル湖(当時40・5㍍)を抜いたこともあったが、今は摩周湖も20㍍ほどになっているといい、悔しいけれど透明度を維持しているのは驚きだ。
元は海だったこともあって、バイカル湖には世界で唯一淡水に住む「バイカルアザラシ」がいる。後で聞いたら、リストヴャンカのバイカル湖博物館で飼われている。本物は見逃してしまった。見たい人は博物館に寄ることをお勧めする。
人の多いところには野生のバイカルアザラシはまず出てこない。といっても、バイカル湖の周囲は2100㌔もあり、ほとんどは人が踏み入らないところらしいので、住む場所もたくさんあるだろう。本物ではないが写真だけでも。陸封された時に取り残されたアザラシのような固有種の動植物は1500種以上いるという。
対岸の山並みの稜線は、雲と霞がかかっているが、意外とはっきり見える。連れてきてくれたデニスが「もっと奥に行ってみよう」と、湖岸の崖にある細い道を歩きだした。
手すりも何もない道で、滑り落ちたらすぐ下は湖。けっこう急な崖だ。行き止まりのようなところまで行って、湖の北の方を見渡す。細長い湖の奥はまったくわからない。湖の大きさを実感できた。
湖岸に戻って、流木を椅子に一服。湖を見渡す。ありきたりではあるが「時間がゆっくり流れている」という表現がぴったり。打ち寄せる波も小さく、湖岸の小石を洗っている。
ふと思い立って小石を拾った。石を見ると、白、赤、茶、黒、緑…さまざまな色の石が交じっている。
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