アントニ・ガウディの作品群(スペイン) カサ・ミラほかバルセロナ市街

グエル公園~カサ・ビセンス~カサ・ミラ~グラシア通~カサ・バトリョ~ランブラス通~グエル邸

1992年の五輪取材時はみられなかったので、せっかくだから世界遺産に登録された7つの建物全部を見ることにした。バルセロナ市街には、サグラダファミリアのほかに、5つの建物がある。
サグラダファミリアを見た翌日、バルセロナ市街の北側にある「グエル公園」を起点に、メーンストリートのグラシア通り、ランブラス通りを海の方へ下りながら、道沿いにある「カサ・ビセンス」「カサ・ミラ」「カサ・バトリョ」「グエル邸」を1日かけて歩いて見て回った。
グエル邸から逆に登っていく手もある。グエル邸側からは市街地はずっと登りにはなるが。「ガウディ巡り」をしたい方の参考になれば。市内には観光案内所にようなところが随所にあるので、日本語のパンフレットを入手しておいて「グエル公園」から歩き始めることにした。

グエル公園

 

地下鉄3号線レセップス駅が始まり。グエル公園は丘の上にあり、途中から急勾配の登りになる。「Parc Güell」の標識を頼りに行くと途中からエスカレーターがあるのでかなり助かった。
公園の入口は3カ所あるのだが、その道の入口は「サンタ・ジョゼップ・ダ・ラ・ムンターニャ」という通りだったらしい。入場口でネット予約した画面をみせる。
公園の中に入るとまずゴツゴツした質感の柱が斜めに立てかけられた、らせん状の道に出る。「ブガデラ(洗濯女)の回廊」で、そこだけでもガウディ、という感じがする。

回っていくと「ラ・ナトゥーラ広場」に出る。周囲をぐるりと波打ったベンチが取り囲み、色とりどりのモザイクで飾られている。

よく見ると、陶器片や色ガラスなどを使っているが、1つ1つのかけらは何の変哲もない。たくさん張り付くと芸術になるようだ。

グエル公園は、実業家のエウゼビ・グエル氏からガウディが依頼されて1900年から新興住宅地として建設が始まった。

宅地開発も売れずにとん挫

ところが、自然の豊かさ、眺望の良さなどが重要視されていない頃で60区画の予定が売れたのは2軒だったといい、資金難で計画が頓挫。1914年に開発は中止となり、市に買い取られて公園になった。

広場から階段を降りると、公園の真下が空間になっていて、宮殿のような丸い柱が林立している。
このホールは市場として利用される予定だったという。天井の装飾は貝などをモチーフにしたモザイクで飾られ、色使いがきれいだ。

 

ホールを正面から「モニュメント階段」を下りる。ここで有名なのが「トカゲの噴水」。観光客が引きも切らずに記念撮影している。
そのほかにも動物、植物をモチーフにしたモザイクの像や装飾で飾られ、階段の上り下りが楽しくなりそうだ。

下りると「門番の家」。ここが正門らしく、オロット通りに面している。いま住宅地で売り出したら引く手あまただろう。

ガウディが手掛けた最初の建物

ここからは下りだ。レセップス駅に戻り、そこからグラシア通りを南下する。地図を頼りに「Carolines通り」に入る。ビルが立ち並ぶ中の一角だけ、異空間のような建物が建っている。

これが「カサ・ビセンス」。1883~85年にガウディが設計した初めての建物だという。サグラダファミリアなどのような「丸み」がないが、色といい形といい、なんとも奇抜な造りだ。個人住宅で中には入れないので、外からガウディを味わおう。

街の真ん中の石切り場

グラシア通りに戻ってさらに下る。左手に変な建物が見えてくる。「石切場」を意味する「ラ・ペドレラ」と呼ばれる「カサ・ミラ」が建っている。ネットで予約しておいた。

入場券もパンフレットも「La Pedrera」なので、こっちの名の方が通りやすいのかもしれない。いまも賃貸住宅や事務所、店舗として使われ、入れないところが多いが、日本語の音声ガイドを手に中に入る。

 

屋上の異空間

一気に屋上に上がる。ヘルメットをかぶった人形のようなものがそこら中に立っている。煙突と排気口で、2,3本1組になっている。

音声ガイドによると、「細長いものを1本だけつけるのはお笑い種。禿げた頭に毛が1本立っているようなものではないか」と、目的を聞かれたガウディは言ったそうだ。

屋上への出入り口もヘルメット煙突を巨大にしたようなデザインで、トンネルのアーチがついている。その1つを内側から覗くと、先にはサグラダファミリアがみられる。
必要なものをただ造るのではなく、すべて一体でデザインの中に取り込んでいる。2つの中庭を囲むようにして部屋を設けているが、外から見えない中庭に面した窓もちゃんとデザインされている。

すでに建築家として有名になっていた1906年に実業家のペレ・ミラに依頼され、1910年に完成した。曲線だけで描かれた「山」をイメージしたこの建物に、ガウディ自身のそれまでの知識や経験の全てを注いだという。

評価が低かったカサ・ミラ

当時は理解されず中傷も受け、依頼主の評価も低く、これを機にガウディは個人住宅などの設計はやめ、サグラダファミリアの建設に全精力を注ぐようになる。そんな建物が今やバルセロナのシンボル的な存在になった。
見学できる屋根裏に下りた。ここは住民の共用スペースで、さまざまな幅や角度のレンガのアーチで屋根を支えている。

「高貴な人は帽子と傘を持ち歩くように、建物は屋根が傘、屋根裏は帽子の役割を果たす2重のカバーが必要」と、断熱効果も意図したという。
デザイン性に目を奪われがちだが、機能性も重視している。部屋も1つ見せてくれたが、曲線の多い室内の住み心地はちょっとわからない。家具の置き方などに悩みそうだが、それがガウディなのだろう。

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