マラケシュ旧市街(モロッコ)
マラケシュ市街~メナラ公園~クトゥビアの塔~バヒア宮殿~フナ広場
「マラケシュ(Marrakech)」という言葉の響き、それだけで「異国」というイメージを強くするのは私だけだろうか。2014年、行ってみた。
モロッコはサハラの国だが、マラケシュは緑も多い。南にあるオート・アトラス山脈を超えないとサハラに行けないので、砂漠の街ではない。
東西約2㌔、南北約3㌔の城壁に囲まれていたのが、旧市街。いまも多くの城壁が残っている。朝、まず「メナラ庭園(Jardin Menara)」に行く道すがら、車窓から城壁や旧市街に入る門がいくつか見かけた。
欧州の塔の模範になったミナレット
この庭園はオリーブ農園という方があたっている。城壁の少し外側、いわゆる新市街にあるのだが、できたのは12世紀だという。
入口を入ると、緩やかな上り坂の広い道。道の両側が、オリーブ畑になっている。オリーブは地中海沿岸で世界の80%程が取れるといい、これまで地中海沿岸の他の国でたくさんのオリーブを見てきたが、この庭園(農園)のは少し背が低い感じがした。
チュニジアやスペインでは木を揺すったり、たたいたりして落として収穫すると聞いたことがあるが「この庭園のオリーブは手で収穫します。オークションで競売にかけられます」(ガイド)というから、王室関連だけに高級なのだろうか。
大きな貯水池にでる。いまはコンクリートで囲われているが、12世紀ごろから灌漑用に使われているという。オート・アトラス山脈の雪解け水を集めた池は旧市街に4つあったという。
背後に雪を残したオート・アトラスの山並みが朝日を受けている。池のほとりには、土壁(レンガ?)に緑色の屋根の建物。なかなか風情がある。ベルベル人のムワヒッド朝創始者アブド・アルムーメンによって作られた庭園で、スルタンのデートスポットだったというだけのことはある。
庭園の出入口から正面に延びる道路の向こうに、大きな塔がみえる。「クトゥビアの塔(Koutoubia)」という。
旧市街に入ってその下に行ってみる。この塔は高さ77㍍。アブド・アルムーメンがモスクを建て、12世紀末にヤークーブ・マンスールがいまのミナレットを造ったという。石積みに土の壁面で、壁にある穴は「木を差し込んで、上るための足場にした」という。
「モロッコのミナレットは四角いのが特徴です」とガイド。そういえば、トルコなどのミナレットは円柱だった。
ただ、太い部分は塔、最上部に乗っている細い部分がミナレットなのだそうだ。使い道が違うということだろうか。
内部は6階建てで「石を上に運ぶのにラバやロバを使ったので、螺旋階段になっています」という。クトゥビアというのは本屋のことで、このあたりが本屋のスーク(市場)だったらしい。
同時期に造られたラバトの「ハッサンの塔」とスペイン・セビージャの「ヒラルダの塔」の手本にもなったという。マラケシュ市内には、この塔以上の高さの建物は造らないという。まさにランドマークだ。
民族で待合室を分ける心遣いの宮殿
ここから、ユダヤ人街を通って「バヒア宮殿(Palais de la Bahia)」に向かった。
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