マラケシュ旧市街(モロッコ)

スークの道、ちょっと広めの道には名前がついているのだが、その道の名前を探せない。地図を読むのは得意なほうなのだが、のっけからお手上げ。歩いていくうちに分かるかもしれないと思って「スーク・エル・クサビン」という看板のかかった広めの道を入った。

これまでイスラム圏の街で、メディナと呼ばれる旧市街の市場をいろいろ見てきた。ごちゃごちゃしているのは同じだが、なにより、他の市場より一段と活気がある。見ようと思っていた建物よりもこうした雑踏の方が楽しいかもしれないと、奥へ向かった。

騒々しいので、隣の人の声も聞き返さないといけないときもある。何でも売っている。「これが商品か」と思うような雑貨も堂々と並べている。曲がりくねった細い道を行くと小さな広場に出たりする。

地図とにらめっこしても、しょせんはよく分からないので、道に迷わないように分かれ道の建物や店を覚えるようにしたが、分かれ道が多すぎて「本当に帰れなくなるかもしれない」と少し不安になった。

廃墟のようなところもある。行き止まりももちろんある。そうこうしているうちに、日が暮れてくる。街灯は見当たらない。商店の明かりが頼りだ。

ある程度まで進んで、目印を忘れないうちに引き返してきた。後で気づいたのだが、地図で大きめの通りになっていても実際の通りはかなり狭いらしい。大きめの通りばかり探したのが間違いだったようだ。

ジャマ・エル・フナ広場に戻ると、もうほとんど日が暮れていた。食べ物屋が営業を始め、日本人と見ると日本語のメニュー(といっても紙1枚だが)を見せながら「おいしいよ」とか「こんにちは」と客引きに来る。

大丈夫かなとは思ったが、山のように積んであるオレンジがおいしそうだったので、ジュースを飲んだ。

ジャマ・エル・フナ広場はその特徴的なにぎわいに、2009年に初の世界無形遺産として正式に登録されている。確かにこの巨大な雑踏は「文化」なのだろう。

 

1985年登録

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