古代都市ポロンナルワ(スリランカ)
くねくねした形の柱が8本並んでいるのは「ラター・マンダバヤ」といい、蓮の茎が風になびく様子を表している。ここでは読経を行っていたという。
「アタダーゲ」「ハタダーゲ」と、2つの仏歯寺の跡が並んである。いまはキャンディの仏歯寺(世界遺産)にある仏歯は当時、すでにインドから伝わっていた。
ハタダーゲは都を移したウィジャヤバーフ1世が11世紀に造ったという。ここに仏歯を祭っていた。
アタダーゲは、ハタダーゲより規模が大きく、ニッサンカマッラ王が12世紀に造ったもの。ここにも仏歯が安置されていたのだろうか。中は柱が林立している。
柱には細かい彫刻が残っており、同王をたたえる碑文や、踊っているように見える人物などが彫られている。屋根を支えていたわけではなさそうなので、記念碑的なものなのだろうか。
この一角で一番目立つのが、円形の壁に囲まれた「ワタダーゲ」。真ん中に仏像がおかれている。遷都前の7世紀ごろからここにあったといい、この仏塔を中心にして都を建設したということだろう。
こうした寺院の入り口の階段下には「ガードストーン」という魔除けのための像が立っている。日本でいうと、狛犬のようなものなのだろうか。
また、入口の足元には「ムーンストーン」という半月を模したような石がはめ込まれている。ここで足を洗って、中に入ったという。日本でいう上がりかまちのようなものか。これらも土足厳禁の場所だった。
優しい顔の3体の仏像
クワドラングルを抜け、遺跡のハイライトでもある3体の石像がある「ガル・ヴィハーラ(Gal Vihara)」に向かって、公園の中を歩く。途中にも多くの遺跡が点在している。
目立つのは饅頭型の遺跡。仏陀を祀るストゥーパに似ているが、「ダーバカ」という高貴な人のお墓。「ランカトゥ・ヴィハーラ」が最大のものという。
白い色が残る「キリ・ヴィハーラ」(キリはシンハラ語でミルク)は尖塔をもって建っている。漆喰など700年前に造られた当時のまま。パラークラマ・バーフ1世の妻の1人のものだという。
精緻な彫刻が壁面に残っているのは「ランカティラカ」という寺院跡で、高さ17㍍以上。奥の壁に頭部のない巨大な仏像がある。
ガル・ヴィハーラに着き、いよいよ3体の仏像とご対面。やはり土足禁止なので、入口で裸足になって、細かい砂利の上を歩く。
岩壁に左から坐像、立像、涅槃像の巨大な石仏。私のカメラでは全部まとめて撮れなかった。
座像は高さ5㍍ほど。瞑想する姿を表している。
涅槃像はもちろん仏陀だが、物憂げな表情をしている立像は、弟子のアーナンダだといわれているそうだ。師匠の死を前に、悲しみに包まれている様子らしい。
腕を組んで悩んでいるようにも見えるのは、師を失って途方に暮れているのだろうか。「人の一生の哀れを表しているといわれています」という。3体とも優しい顔立ちをしている。拝みがいのある仏像だった。涅槃像全体の絵葉書があった。
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