チトワン国立公園(ネパール)
出発すると、意外と安定感があり、速い。ただ、踏む出すごとに揺れ、方向を変えるときはかなり揺れるので、カメラで写真を撮るのはは結構大変だった。
ジャングルに入ってすぐに、樹上のサルに。遠くてチラッと動いているのしかわからなかったが。湿地であろうが、草むらであろうが、お構いなしに象は歩いていく。
いきなり、象が甲高い声を発した。近くに何かいるらしい。象使いが辺りを見回しながら探すと、2㍍ほどの背丈の草が生い茂った一角に白っぽいものがみえる。鎧のような形が見え、インドサイの背中、尻だとわかった。
すぐ近くまで寄った。象使いの呼びかけで、一緒に出発した他の象も集まってきたためか、インドサイは頭を茂みの奥に突っ込んだままじっと動かず、胴体をみせているだけ。生い茂った草越しに、角の生えた頭もちらちら見える。
しばらくとどまっていたが、象がしびれを切らしたか、象使いが方向を変えてまた歩き出した。残念ながらインドサイの全体をはっきり見ることはできなかったが、自分でもうれしくなっているのがわかった。
さらに奥へ進むと、広場のような湿地と草原にでる。このあたりでは多くの鳥などがみられるそうだ。すぐに3、4羽の孔雀の群れ?(家族?)に出遭った。きれいな七色のキジのような鳥がいたので聞いてみたら「野生のニワトリ」だという。家禽とは違って鮮やかないでたちだった。
サギのような鳥も頻繁に見かけた。ジャングルでは鳥の鳴き声だらけなので、よく見れば、公園内に500種類いるとされるうちのいくつかはみつけられるのだろう。
銃による狩猟の場から保護の場へ
チトワン国立公園はネパール南部にあり、インド国境に近い。マラリヤの発生域だったため人間が入り込めなかった場所だったが、マラリヤ撲滅とともに第2次世界大戦前までは外国からの来賓を狩猟でもてなす場所になっていた。
象を使ってベンガル虎や豹、インドサイなどを追い立てて、ただ狩るためだけに大量に射殺していたという。
ホテルには何十頭もの虎や豹の毛皮や何十本もの象牙を前に得意げに銃を抱えてポーズをとる人たちの古い写真が何枚も飾られていた。銃を肯定する人は使う側の問題というだろうが、こうした無用の虐殺を見ると、銃の発明自体が地球には不必要だったのではという気になる。
いまや絶滅危惧種になっているそれらの動物たちを保護するために、1973年に国立公園となった。かつては王室のもので公園名に「ロイヤル」と冠されていた。まだベンガル虎や豹などは数が少なく、警戒心もあるため、象サファリで見られることはほとんどないという。
象使いは時折、「象語」で象を止め、地面に下りていく。落ちているビニール袋やペットボトルなどのごみを回収していた。自然保護の精神が行き届いている公園だった。
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