屋久島(日本)

次々と現れる「屋久杉」

ウイルソン株周辺から、世界遺産登録地域に入る。またきつい上り道が続く。登山道の脇には数字の小さな標識らしきものがある。「50番が縄文杉なんですが、見ると疲れるので見ない方がいいですよ」とガイド。見ないことにした。

道は木道と階段が主体になってくる。時折足元の悪い道もあり、なんといっても急な上りの連続。足取りは重い。大株歩道入口から縄文杉まで2・5キロなのだが、3時間かかるというのもうなづける。

そんなときは、屋久杉が疲れを癒してくれる。「何かにみえませんか? メドゥーサ杉と呼ばれています。理由は定かではありませんが、放射状に枝が伸びています」と、ガイドが指差した。蛇の髪を持ち見た者を石に変えるギリシャ神話の怪物の名がついた不思議な杉だ。

放射状に枝が伸びるメドゥーサ杉

大王杉の痛々しい姿

荒川登山口から歩き始めて約6時間。「大王杉」が右手に見えてきた。見上げる。かなりの高さ。樹齢約3000年、樹高24・7メートル、胸高幹周り11・1メートル。

根元にぽっかりと穴が開いている。縄文杉が見つかった1966年(昭41)まで最大の屋久杉とされていた。近くに寄ってみたかったが「以前、登山者が杉の皮をはいで持ち帰ったり、空洞の中で焚き火をした者もいたので、いまは周囲は立ち入り禁止になっています」という。

不心得者のせいで、規制が厳しくなるのはどこも同じだ。残念。10分ほどで「夫婦杉」につく。合体木で、樹齢は妻2000年、夫1500年の木の枝が横に伸びて合体し、手をつないだようになっている。

手をつなげているような夫婦杉

 

「このあたりでは唯一、手で触れる屋久杉です」と、道をふさぐように立つ巨木。みんなが触るためか、表面の樹皮がなくなりオレンジ色の地肌? がすべすべしている。不気味なこぶがある。

使い道がない杉が残された

「屋久杉を伐採するときは、試し切りをして中を確かめた跡がこぶになったようです。今残っている古木は、試し切りをして年貢にならないから切るのをやめた木をいわれています」。

屋久杉にじかに触れる

縄文杉も大王杉も、いい木材になりそうもないから残されたということか。大王杉は確かに大穴が開いていた。縄文杉にも空洞があり、試し切りの跡も残っているという。

このぐらいの巨木となると、足場を組んで、ウイルソン株のように根元から3、4メートルのあたりを斧やのこぎりで切り倒す。かなりの時間と労力を使うだけに、金(年貢)になるきれいな木だけ切られ、不細工な木は生き残った。5000年生きても切られるのは一瞬。不細工でよかった。

いよいよ、縄文杉が近くなる。相変わらずの上りだが、クライマーズハイ?足取りは少し軽い。日帰りで下山する人とすれ違うようになる。いたるところに水場があり、軟らかい水でのどを潤せる。

縄文杉とついに対面

縄文杉への最後の水場で一服。ガイドは「これから行きますが、下を向いたまま上って、最後の階段の途中まで行ってから見上げてみてください」。小川を飛び越え、岩場を登って展望デッキに向かう最後の階段を上がった。

早く見たい気持ちを抑え、階段の中ほどまで行ったときに顔を上げた。出発して約7時間半、目の前に「縄文杉」が立っていた。

展望デッキに立った。茶色っぽい灰色。こぶがいくつもあって、ごつごつした岩のような姿。立っているのはけっこう急な斜面。根元から太い幹がまっすぐ空に向かって立ち上がり、枝を広げている。

上に行くにしたがって、緑の葉が多く、濃くなっていく。デッキからはてっぺんは見えない。生えている木とは思えない、どっしりとした風格がある。

かつては直接触れたというが、人が根元を踏むことで土がなくなり、根が露出して弱ってきたので、根元周辺を立ち入り禁止にし、展望デッキから見る。デッキは2つあると思っていたが、行ったときは向かって左側の1つだった。

折れた枝で分かった樹齢

「手前に伸びている太い幹の根元に腐食が見つかって、ワイヤーでつるして支え、もしものときのために正面デッキを取り壊しました。北側だけでは狭いので、今後どうするか検討しています」という。

ゆっくりと上ってきたので、日帰り登山組はすでに下山に入っており、デッキにいるのは我々のグループ5人だけ。「多いときはさっきの水場ぐらいまで並ぶ大渋滞になって、デッキでも歩きながらさっと見て終わりということもあります。きょうはよかったですね。泊まる予定の避難小屋はここからすぐなのでゆっくりしましょう」。

荷物を下ろし、もう1度下から見上げたり、デッキに寝そべって眺めたりしながら、2時間近く、縄文杉のふところでくつろいだ時間を過ごした。

樹齢約5000年といわれる。2500年説や7200年説などもある。2005年に中ほどより少し下の枝が折れて落下した。屋久杉自然館に「命の枝」として保存されている。

「枝は直径1メートルで樹齢990年と分かりました。縄文杉の直径は5・1メートル。古い杉は中が空洞になっていることが多く、縄文杉も後ろ側にいくと空洞があるので、切ったとしても年輪の調べようがないんです」という。5000年とみるのは妥当なようだ。

縄文杉近くに大きさを比較できるものがなく、デッキからはだいぶ距離があるので、胸高幹周り16・1メートル、樹高30メートルの巨大さは実感できないが、安房のホテルにあった実物大写真では、見えている正面だけで3人が手をつないでやっとだった。ここでヤクシカかヤクザルが出てきてくれたら大きさを実感できるのだが。

 

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