白神山地(日本)

白神ビジターセンター~白神ライン~暗門の滝~マザーツリー

日本の世界遺産第1号として屋久島とともに1993年に登録された老舗が、ここ白神山地。当時はブナの原生林といわれても、原生林だらけの北海道で生まれ育った身としてはピンとこなかったのだが、2005年、行ってみた。

青森側から車で入ると、麓にビジターセンターがある。当時は白神山地の象徴、ブナの巨木「マザーツリー」を主役にした紹介ビデオ「いのち輝く森」を上映していた。今は内容が変わっているようだ。

白神山地は、約8000年前に形成されたブナの原生林に覆われている。青森県と秋田県にまたがる約170平方キロに及ぶ登録地域は、核心地域(コア・ゾーン)と緩衝地域(バッファ・ゾーン)に分かれ、緩衝地域は比較的自由に入山できる。核心地域は入山禁止か届け出制になっている。

立ち入れる地図などを手に入れ、車道白神ラインを通って日本海側に出るルートを走る。まずは3つの滝がある緩衝地域の「暗門の滝」を目指し、アクアグリーンビレッジANMONへ。

暗門の滝を目指す

暗門の滝歩道入り口に小屋があり、通行届を書く。周辺整備のための協力金募金箱があり、300円を入れて証明書をもらった。

白神山地ビジターセンターのHPによると、2016年から歩道は「渓谷ルート」という上級者向けになっている。これは途中で川に入って渡るなど、相応の装備が必要になったかららしい。

行ったときは、足元が滑らない靴であれば行けたのだが、ところどころに川すれすれの簡易な橋やトンネル、崩れそうな崖の下などを通った。応急処置したような場所もあったので、当時より道が悪化したのだろうか。

3つの滝は上流から1,2,3

さて、歩き出すと、川沿いの広い道は次第に狭くなり、川のすぐ横を抜けて歩く。暗門の滝はまず第3の滝から現れる。山での狩猟を生業としていたマタギが山の上から見つけた滝で、上流から1、2、3とつけられたからだという。

川の流れからいくと、正しい順番のつけ方だ。第3の滝を左手に見ながら、すぐ横の急坂をあがる。上りきると、第3の滝の水が落ちる様子がしっかり見られる。またしばし、川に沿って緩やかに上っていく。

暗門第3の滝

足場の悪い川沿いの道

ゴツゴツした石の河原や、岩をくりぬいたトンネル、簡易な橋などが続き、このあたりから足元は悪くなってくる。ほどなく、第2の滝に着く。

仮橋やトンネルもある遊歩道

 

第2の滝は、第3の滝より高さがあるので、しぶきも多くなってくる。岩の削られた跡がくっきりとわかり、水流の激しさを見せられているようだ。

暗門第2の滝

 

また滝の横を登っていくと、第1の滝にたどり着く。上流の滝に行くにしたがって急流になるのか、滝つぼ周辺は水しぶきのたっぷり具合が変わってくる。3つの中で一番落差があるようだ。

暗門第1の滝

第1の滝はマイナスイオンたっぷり

第1の滝では傘がほしいと思ったほどの勢いで水滴が飛び散り、マイナスイオンもたっぷり浴びられたと思う。10月だったから雪解け水ではないのに水量の豊富さにはびっくりした。

そこから引き返したが、下りの方がちょっと怖かった。所要時間は片道約1時間強。3つ見ると、けっこうな山歩きになる。

暗門第1の滝

 

引き返してANMONを後にし、津軽峠にあるマザーツリーを目指す。駐車場が小さく、通りすぎてしまいそうだった。今は整備されているだろうか。5分ほど歩くと、樹齢約400年、幹周り4・7メートルの「主」に出会える。

さすが、マザーツリーの風格

巨木の風格、見上げたときの枝ぶりの見事さ。知らず知らずのうちに、うなっていた。日本中にあるこうした巨木はなぜか気持ちを落ち着かせてくれる。

根元は根の保護のため、ロープで囲われており、歩くところは地面に触れないように板敷きになっている。

保水力があるブナは、葉で受けた雨が幹を伝って根元に落ち、それを根が吸い上げ、水を循環させている。だから、根元は大切だ。幹に耳を当てると水を吸い上げる音が聞こえるという。

周りにある近寄れるブナの幹に耳を当ててみたが、聞き取れなかった。別な木でもやってみたが、やはり聞こえずじまい。大きな木じゃないとだめなのかもしれない。

 

マザーツリーの根元は保護されている

 

暗門の滝やマザーツリーのほかにも、日本の滝100選に選ばれた「くろくまの滝」や、ブナ林をめぐるたくさんのトレッキング道や、気軽の歩ける散策道などがあるので、ビジターセンターやHPでの情報収集をしたい。

白神岳はじめ入山が制限されている核心地域を見渡せる展望所など、立ち入れる場所は随所にある。

白神ラインからは主峰白神岳はじめ白神山地の山が見られる。ただ、観光地としては当時はまだ十分整備されていなかったが、それがいいのかもしれない。

白神ラインは道幅が狭く、未舗装の砂利道が大部分だった。10年以上前のことなので今の道の様子は分からないが、曲がりくねった山道で移動には距離以上に時間がかかった。旅程には注意が必要だ。

2018年9月、悲しいニュースを目にした。関西空港はじめ各地に大きな被害をもたらした台風21号が日本海を北上。この白神山地も暴風雨に見舞われて、マザーツリーが幹部分から2つに折れてしまったという。それでも立ち続ける姿を見たいと思う。

1993年登録

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