モスクワのクレムリンと赤の広場(ロシア)
赤い城壁と個性ある塔
外壁の上部には「歯飾り」といわれる装飾のようなものが並んでいる。「つばめのしっぽがモデルだったようです」(ガイド)という。
一部には銃眼のような穴があり、歯飾りと歯飾りのすき間からも銃を打てるし、身を隠せる。実用性は高いようだが、見た目の美しさにもこだわったらしい。
城壁で印象的なのが、壁と一体になってつくられている塔。クレムリン全体で20の塔が立っている。塔めぐりをしてみよう。
クレムリン内に入場するときに通ったのが「ボロヴィツカヤ塔」。14世紀に建てられたという。開門待ちで並びながら、塔を見上げていた。高さは50.7㍍。てっぺんに赤い星の飾りがされている。
ボロヴィツカヤ塔から左を見ると、「オルジェイナヤ」「コメンダントスカヤ」「トロイツカヤ」と3つの塔が並んで見える。1つ1つ個性的で、朝日に当たって赤色がきれいだ。
オルジェイナヤ塔は15世紀末に建てられ、元々は馬屋門があった塔だったという。高さ38.9㍍。
コメンダントスカヤ塔は高さ41.25㍍で、モスクワの警備司令官(コメンダント)が常駐したところから名づけられたそう。
トロイツカヤ塔はクレムリン内に観光客が入退場出来る2つの門のうちの1つ。高さ69.3㍍超で、最も高い塔。ボロヴィツカヤ塔と同じように、てっぺんに星の飾りがついている。
クレムリン内の武器庫あたりからモスクワ市内の方向を見ると、塔が並んでいる。「ヴォドヴォズヴォドナヤ」「ブラゴベシェンスカヤ」「タイニツカヤ」「ペルワヤ・ペジャミャンナヤ」の各塔が現れる。塔の名前はみんな女性詞だ。
タイニツカヤ塔はクレムリン最古の塔で1485年に作られた。タイニツカヤは「秘密の」という意味で、この塔にモスクワ川に出られる秘密の通路があったらしい。
クレムリン内を見終わって「トロイツカヤ塔」の門からでる。この門と塔もかなりりっぱだ。
「赤の広場」へバスで移動した。いろいろな方向から広場には入れるので、私が入ったポクロフスキー聖堂(聖ワシリー寺院)側から城壁を見ると、やはり塔が並んでいた。
「ペクレミシェブスカヤ塔」「コンスタンチノ・エレニンスカヤ塔」「ナバトナヤ塔」、城壁の上にちょこんと乗っかったような小さい「ツァーリルスカヤ塔」、そして赤の広場でもシンボル的な存在の時計塔「スパスカヤ塔」と続く。
スパスカヤ塔は1491年に作られ、時計がついたのは1625年。高さは67.3㍍あり、下から3分の2のところあたりに4面、直径6㍍あまりの時計がつけられ、赤の広場にいる人に時刻を知らせている。
門は開いていなかったが、かつてはここがメーンゲートのようなところで、皇帝ツァーリの出入りや外国要人の出入りはここからだったという。
赤の広場に面した城壁には「セナトスカヤ塔」「ニコリスカヤ塔」「角のアルセナリナヤ塔」がある。
クレムリンはおおまかに三角形をしており、その角の塔は城壁の途中の塔よりも高くつくられているのは、もちろん要塞としての防御機能を果たすためだろう。
モスクワのクレムリンを普通の観光ルートで歩いたとしても、20の塔の大半は見ることが出来る。すべてみたければ、城壁の周りを1周すればいい。城壁の下は公園のようになっていたので(すべてそうかは分からないが)歩いても2~3時間だろう。
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