ヒエラポリス・パムッカレ(トルコ)

パムッカレ~ヒエラポリス~ネクロポリス

澄んだ水をたたえた段々畑のような真っ白な石灰棚が、幾重にもつらなっている。テレビや写真などでご存じの方もいるだろう。しかも、温泉だという。
石灰棚の湯舟とは粋なもの。パムッカレ(Pamukkale)の石灰棚温泉につかってみようと、2004年、行ってみた。

石灰棚の「湯舟」が連なる

石灰棚群を見下ろすところに着く。水が青くみえるためには、やはり天気がよくないとだめだが、幸い太陽は顔を出している。ただ、到着したのは午後遅く。まぶしいぐらいの日差しには感謝するが、残念ながら石灰棚に当たる角度が逆光といった感じで、水面に反射しすぎてしまっていた。
近い方は青くみえるのだが、遠い方はキラキラしている。

パムッカレの石灰棚は、温泉から生まれた。温泉水に溶け込んだ石灰、日本で言えば湯の花が、数千年にわたって堰を作り、水(湯)をためながらまた成長を繰り返し、段々畑のような景観を生み出した。
中国の黄龍も同じように石灰棚の見事な景観だったが、黄色い石灰。こちらは真っ白。パムッカレというのは「綿の城」という意味だという。

かつては、石灰棚の湯舟に入り、治療などのなどのために湯につかっていたこともあったという。それで水が汚れたことや、温泉の湯量が減ってしまったこともあり、元の白さを取り戻すために保護にのりだした。
いまでは、上部の一部にしか、立ち入りできなくなっており、温泉浴もできないという。

遠くに大きい「湯舟」があったが、気を取り直して裸足になってジーンズのすそをめくり上げ、石灰棚の縁の上を伝って歩く。ぬるま湯だが、気持ちがいい。ただ、石灰棚の縁は狭くて滑りやすいのと、ところどころとがっていて足の裏が痛いのでバランスに注意を。

今も成長を続ける石灰棚

石灰棚が露出している丘の高さは300㍍という。下を覗き込んで、落ちたらまずいよなあ、などと思いながら、縁伝いにいく。振り返ると、石灰棚が段々に連なった様子がよく見える。段々畑を横から見る感じになるので、より景観のすばらしさを体感できる。

スネほどの深さの石灰棚の中に入ってみた。ジャブジャブと進み、上段の石灰棚の壁までいってみる。高さ3㍍はある。大きなものはもっとあるだろう。
手で触ってみると、壁面を湯が伝わり落ちている。上段から静かにあふれた湯が下へ下へと向かっているときに、石灰棚がほんの少しずつ大きくなっていくのだろう。
ちなみに、温泉の効能を聞いたら、ガイドは「いろいろ治すそうですが、特に美容にいいと言われています」という。興味のある方は顔を洗ってみては。

かつては湯治を主体にした「病院」だった

パムッカレの丘の上には「ヒエラポリス」(Hierapolis)というローマ時代の都市があった。石灰棚の上から道をはさんで反対側に、紀元前2世紀ごろから、大地震で崩壊する14世紀ごろまでの遺跡が点在している。

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