サカテカス歴史地区(メキシコ)

メキシコシティ~サカテカス~カテドラル~サント・ドミンゴ教会~ブーファ

中世の街なみが、朝日を浴びて赤く浮かんで見える。
前夜、メキシコシティを出発し、夜行バスに揺られて午前6時すぎ。山に囲まれた盆地のようなところに、街が広がっていた。
標高2250メートル。建物の多くがピンク色の砂岩でできていることから「ピンク・シティ」とも呼ばれているサカテカス(Zacatecas)に2007年、行ってみた。

ピンクシティの象徴

中心部にあるホテルで朝食をとって、外に出たころには日が高くなっていた。赤かった街は、たっぷりの陽光で白っぽく感じる。メキシコシティでのホームステイ先で、同行してくれたマリオさん、カルメンさんのカスティーヨ夫妻もしっかりサングラス。市街地中心にあるホテルの斜め前方、100㍍ぐらいのところに、気になっていた建物があった。
サカテカスの傑作、2つの塔を持つカテドラル(大聖堂)は、遠くから見てもオーラを放っている。

正面の壁一面、さまざまな彫刻で飾られている。キリストと使徒など人物像が主体だが、細かな模様が、くっきりと描かれている。細工しやすいピンク色の砂岩の特徴を生かしている。

完成当時よりはちょっとくすんでいるのだろうが、ピンクシティの象徴らしく、日が当たると名残をみせる。欧州のバロックと先住民の装飾が融合した「ウルトラバロック」という様式だという。

この街は「コロニアル・シティ(植民都市)」とも呼ばれる。16世紀、中南米はご多分に漏れずスペイン人によって征服されたが、ここも例外ではなかった。悪いことに、良質の銀鉱山が見つかったものだから、先住民は改宗させられた上に、鉱山で働かされ、ほとんどの人たちが亡くなったという。
坑道が今も残っていて、見学も可能だ。スペイン人がそうして得た巨額の富をつぎ込んで150年近くかけて17世紀中ばに完成したというカテドラルは、信仰の場でありながら、強いられた大きな犠牲の上に造られたといえる。

内部にはかつては金銀の装飾があったが、いまは盗まれたのか、なくなっている。

黄金で飾られた祭壇

その失われた輝きを想像させてくれるのが、カテドラルの正面から小道を少しのぼったところにあるサントドミンゴ教会だ。

大きさはカテドラルの半分ぐらいだが、内部には金を使ったきらびやかな装飾が多く残っている。中でも精緻な細工が施された祭壇には圧倒される。

18世紀半ばに、日本ではフランシスコ・ザビエルで有名なイエズス会がつくったという。

街を見下ろす岩山「ブーファ」の上までバスで行った。頂上には、こじんまりとした教会と、その前の広場場に3体の銅像があった。

サカテカスは19世紀初頭、メキシコ独立運動の舞台にもなったところで、そのときに活躍した3人の英雄の像が、街を見下ろすように立っている。名前が分かったのは米映画で見たことがあるパンチョ・ビリャだけだったが。

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