デルフィ(ギリシャ)
オリンピア~デルフィ市街~デルフィ
世界地図がなかった時代、「世界の中心」と呼んでいた場所はさまざまなところにあるが、古代ギリシャに「世界のへそ」と呼ばれた場所がある。2019年、行ってみた。
アテネからの3泊4日のクラシカルツアー、2日目にオリンピアからこじんまりした現在のデルフィ(Delphi)の街に入って1泊した。
翌朝、市街地から10分もかからずに「世界のへそ」と言われたデルフィの遺跡に着く。きれいなモザイクが出迎えてくれる。
「アポロンの神託」で栄えた神域
英語・スペイン語ツアーだったので、遺跡を見る前に売店で日本語のガイドブックを購入するのを忘れなかった。デルフィについて、予習をしていこう。
3500年ほど前、紀元前14世紀ごろには人が住んでいて「神託所」があった。デルフィが世界の中心と言われたのは、アポロン神(Apollon)の言葉である「神託」を授けてくれる場所だったから。紀元前8世紀には「アポロンの神託」として地中海諸国にその評判が広まっていたという。
ちなみに、アポロンはゼウスの息子でアルテミスとは双子の兄妹、オリンポス(オリュンポス)12神の1人で、牧畜と予言、音楽の神とされている。
デルフィの中心にあった「アポロン神殿」で、巫女(ピティア)が月桂樹をかみながら、岩の割れ目から出る異臭のする蒸気を吸って恍惚状態に陥り、カーテン越しに発した支離滅裂な言葉を神官があいまいな意味に解釈して、依頼者に神託として伝えていたという。
何とでも解釈できる神託だったため、当事者にとっては何か起こった時に「そういうことか」と納得したのだろう。紀元前6~4世紀に最盛期を迎え、デルフィの神域全体に神託への感謝を表す像や記念碑、宝物であふれたという。
「まず博物館に行きます。奉納された物を見てから遺跡に行きましょう」とガイド。「世界のへそ(オンファロス)」を示す彫刻がある。後世になって造られた複製で、神託を授けるアポロン神殿の地下に置かれていたというアポロン神のシンボルだという。
建物を飾っていた彫刻などは、遺跡で建物を見るところで紹介する。発掘された像が素晴らしい。一番有名なのは青銅製の「御者像」。ギリシャを代表する芸術品だ。
オリンピックと同じように、4年に1度開かれたギリシャ全域の競技会「ピティア祭」で、紀元前478年に戦車競技で勝ったポリザロスという人が奉納したものだという。本人に似せたのかは分からない。
「アポロン」「アルテミス」の兄妹の胸像はなぜか真っ黒だが、飾っているのは黄金。顔がちょっと怖い。
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