古都トロギール(クロアチア)
壁は石がむき出しで質素なつくりに思えた。モザイクやフレスコ画で覆い尽くす聖堂を、これまでいろいろな国でたくさん見てきただけに、少し新鮮だった。
もう1つの高い建物、高さ47㍍の鐘楼に登った。てっぺんには鐘がぶら下がっているが、それは当然か。街を一望できる。
クロアチアらしい、オレンジの瓦屋根が続く。この島は東西500㍍、南北300㍍。地図を見ると細長い六角形状をしている。
アドリア海に面しており、地中海への交通の要衝だったらしく、紀元前2~3世紀に古代ギリシャ人が建設し、ローマ、ヴェネチアなど支配者が変わってきた。
建築様式が多様なのも、時の支配者のさまざまな文化が取り入れられたからだという。
公正を旨とした市民は支配者にも歯向かう
大聖堂の建つ広場に面して、時計塔、市庁舎なども建つ。時計台は「聖セバスチャン教会」で、ロッジアと呼ばれる集会所を併設している。開放柱廊ともいうそうで、ここで集会や裁判を公開で行っていたという。
壁のレリーフの中に、現代でも司法のシンボルにもなっている天秤をもった人が描かれていた。
日本の裁判所にもあるような、司法のシンボルでもある剣と天秤を持った「正義の女神」は、目隠しした女神ではなかったが、正義や公正さを求める気持ちは高かったのだろう。
海側にでると、大きな城のような建物が見えてくる。「カメルレンゴ要塞(Kula Kamerlengo)」。ヴェネチアが支配していた15世紀に建てられた。
トロギール市民がヴェネチアに対して反乱を起こしており、外敵だけではなく、内敵への守りでもあったらしい。それほど重要な土地ということなのだろう。
そこからまた北門へ向かって歩き出した。同じ道ではつまらないし、小さい島なので、途中で迷ってもたいしたことはないだろうと覚悟して路地へ。小さなレストランやホテル、ブティックなどが点々とある。
方向感覚はなくなる。やはり、道に迷った。バスに乗るための集合場所には、橋を渡る。土産物を売る店の人に地図を見せて、なんとかたどり着いた。
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