ウラジーミルとスーズダリの白亜の建造物群(ロシア)
聖堂広場で再度バスを降り、プーシキン公園の中を通っていくと、丘の上の展望台のような場所に着く。ここからウラジーミルの街並みが見下ろせる。同じように街を見下ろしている銅像は「ウラジーミル公」。
ガイドは「最初の街は990年にウラジーミル1世(キエフ大公)がつくったとされています。大公はいくつかの国をまとめるために宗教を1つにしようとした。イスラム教も考えたのですが、酒と豚肉がだめというのはこの国に合わないのでキリスト教にしたそうです」と説明した。
ガイドブックなどによると、この街はキエフ大公国のウラジーミル2世・モノマフ大公が12世紀初頭に築いた要塞に始まり、孫のアンドレイ・ボゴリューブスキー公の時にはウラジーミル・スーズダリ公国の首都、そしてキエフ大公国の中心になったという。
像がどっちのウラジーミルかガイドに聞き忘れたが、モノマフ公だと思う。同じような名前の人が多いので分かりにくい。いずれにしろ、かなりの歴史があるのは確かなようだ。
白亜の聖堂、壁面の模様に注目
その展望台のすぐ隣が「ウスペンスキー大聖堂」。これもキエフのソフィア大聖堂を意識してつくられたといい、1158年から建設が始まった。
「アンドレイ公がこのあたりに来たときに馬が止まってしまったので、妻がこの場所につくることを勧めたそうです」(ガイド)という。
黄金の丸屋根を持つ聖堂が5つと鐘楼。白い石灰岩でつくられている。大きいので、なかなか5つのドームを入れるように写真を撮るのは難しい。
モンゴルの侵入を受け、モスクワに権力が移る15世紀ごろまで、ここがロシアの宗教の中心地だったという。国の宗教をキリスト教に決めただけのことはある。
近づいていくと、鐘楼の壁のデザインが気になってくる。こちらに笑いかけている人の顔のようにしか見えなくなってきた。
聖堂自体の壁面の彫刻は少ない。「偶像崇拝ができなかったので、彫刻はライオンとマリアしかありません」という。
残念ながら曇っていたが、日の光で壁面の白さが際立つのだろう。「ロシア各地にあるウスペンスキー聖堂は、この大聖堂のコピーだといわれています」という。内部は宗教画が描かれているという。
プライベートの教会は彫刻だらけ
トイレ休憩で博物館に寄って熊や狼の剥製にお目にかかった後「ドミトリエフスキー聖堂」へ。ここは、アンドレイ公の息子のフセーヴォロド公によって、12世紀末に建てられた。
「ここはプライベートな教会だったので、壁面にたくさんの彫刻で飾ってあります」とガイドが言うとおり、壁面にはびっしりを彫刻が施されている。旧約聖書に出てくるダビデ王が目立つ。
そのほかにもソロモン王やアレクサンダー王らも描かれているという。「ライオンは職人もみたことがなかったので、ネコのように描いています」という。
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