古都京都の文化財(日本) 西芳寺

京都駅~苔寺・すずむし寺前

京都のお寺や神社の中で、以前から気になっていた寺が、洛西にある「西芳寺」、通称「苔寺」という。ただ、気づいたときははがきによる事前申込制になっており、なかなか機会がなかった。関西方面での仕事が早めに決まった2018年、行ってみた。
西芳寺のHPで事前予約の方法が書かれている。往復はがきで希望日を申し込み、返信はがきに日時が書かれている。2カ月前から遅くとも1週間前必着となっている。
希望日が取れたので、当日京都駅から京都バス73系統「苔寺・すず虫寺行」に乗った。230円だが、1時間はかかるので、バスで行く人は余裕を持っていきたい。返信ハガキを忘れずに。

まずは般若心経の写経から

バスは嵐山に向かい、渡月橋を渡って終点「苔寺・すず虫寺」バス停に。西芳寺の見学所要時間は約60分と返信ハガキにはあったが、ゆっくり見て2時間近くかかった。終点と同じバス停なので、帰りのバスの時刻を見て行った方がいいだろう。
少しお土産や飲食の店が並ぶ上り坂を少し上がると、西芳寺の「衆妙門」。くぐると1969年(昭和44)に再建された本堂(西来堂)の前に出る。

衆妙門

本堂右手の建物に受付があり、参拝冥加料を納める。よくお寺で支払う拝観料と同じものだが「3000円以上」となっているので、3000円を納めた。庭園を見るには、まず「写経」をする。

本堂

本堂に案内されて小さな文机の前に座る。住職から西芳寺について簡単な説明や説法を受けた後、写経に入る。返信ハガキに「写経用に細筆を持参」と書いてあったので、一応筆ペンを持っていったが、墨(硯)と筆は文机の横にあったものを使った。


受付でもらった厚手の半紙のような紙には般若心経が薄く印刷されていて、それを筆でなぞる。写経を終えて提出したものは本尊に奉納してもらえる。できた人から、境内を自由に参拝する。

苔の緑が地面を覆う庭園

西芳寺庭園案内図を見ながら、いよいよ庭園を見て回る。順路に従い「庫裡」の前を通って小さな門をくぐると、緑の庭園が広がっている。


庫裡から続く「観音堂」の前を通って階段を下りる。案内図を見るとわかるが、庭園の真ん中に島が浮かんだ大きな池「黄金池」があり、池の周りの苔で覆われた地面に遊歩道がある。


行ったのは6月上旬。梅雨の走りで、前日の神戸・六甲では雨だった。降れば苔がきれいかなと思っていたが残念ながら? 降らなかったようだ。


それでも、木洩れ日の中で、木々の緑、地面の苔の緑。緑あふれる世界が広がっている。


西芳寺では、観光客が増えて苔に影響が出てきた1977年からいまの事前申込制にしており、1日1回、少人数しか受け入れていない。なので、時間変更はできない。


とにかく、苔寺だけあって、遊歩道の周りは苔、苔、苔…。木の根も石も苔に覆われている。


屋久島の「もののけ姫の谷」白谷雲水峡で苔むす世界を見てきたが、今回は純粋に自然のものとはいえないながらも、苔の緑一面の世界がホッとする空間になるのはなぜだろうか。

歴史上の人物の隠れ家に使われた

順路で行くと、池の周りを反時計回りに歩いていく。「湘南亭」という建物がある。
同寺のHPによると、安土桃山時代に千利休の次男、千少庵により建立された茶室。張り出した部分が月見台という。千利休が豊臣秀吉から切腹を命じられた時、一時隠れ家として利用したと言われ、明治維新の時には岩倉具視がここに隠れた。要人の隠れ家としてよかったようだ。

湘南亭茶室

西芳寺は聖徳太子の創業で、約1300年前に行基が開山、鎌倉時代の約650年前に夢窓国師が禅寺として再興し庭園を造った。上下二段式で、上段は枯山水、下段は池泉廻遊式庭園。国の史跡・特別名勝に指定されている。


中央の池は心の字の形をした心字池といい、「朝日ケ島」「夕日ケ島」が浮かんでいる。島に渡る橋もあるが苔むしているので普段は渡らないのだろう。

朝日ケ島

120種類の苔は梅雨時が一番美しい

「潭北亭」という小さな建物の前を通る。黄金池の中にある夕日ケ島を左手に見る。島の中に祠が見える。「鎮守堂」と書いてあった。

夕日ケ島と鎮守堂

黄金池をほぼ1周したあたりに「向上関」という小さな門がある。くぐると山道に。黄金池を見下ろしながら上がっていく。


「指東庵」という建物にでる。ここは開山堂で、行基や夢窓国師の木像が祀られているという。

指東庵

壁に「枯山水→」の紙。その方向へ行くと、庭園の上段、枯山水の石組にでる。夢窓国師による日本最古の枯山水の石組で、1339年(暦応2)に造られたという。


座禅石などを見ながら入口方向へ下山、庭園入口にある休憩所に出る。名残惜しいのでまた黄金池の方に行ってしばらく苔を眺めてきた。


西芳寺にある苔の種類は120種類にも及び、最も美しい時期はやはり梅雨時だという。もう少し時期が遅ければ、もっとよかったのかもしれない。

1994年登録

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