ダンブッラの黄金寺院(スリランカ)
ただ、仏像や全部の石窟にある天井画、壁画に言えることなのだそうだが、色が褪せてくるとたびたび塗り直し、書き直したそうで「オリジナルの絵とは関係なく、その時々の画家が思い思いに描いたため、元々どういう天井画だったかはわかなくなってしまっている」と、ガイドは説明した。
もったいない話ではあるが、近年世界では修復に失敗してとんでもないことになっている絵画の話題が多いだけに、そういったことにはならず、芸術性が高くてよかった。
ここは最大の石窟で、幅50㍍、奥行き25㍍、高さ6㍍ほど。この窟の名前の由来となった、寺院としての創始者ワラガムバーフ王の立像や、釈迦が寝ている像などもある。
「ダンブッラ」は「水がわき出るところ」の意味だそうで、この石窟には水がわき出しており、聖なる水とされている。
観光客が座って塗り直された釈迦像
第3窟「偉大な新しい寺院」はキャンディ時代につくられたという。前の2窟よりも仏像にしろ、天井画のデザインにしろ、新しいという印象を受ける。
全部で57体あるそうだが、18世紀ごろのキャンディ様式というものだという。
第4窟「西の寺院」は、1、2窟と同じぐらい古いという。ここにも黄金の仏像が並ぶ。ここまでくると、前までに見たものとの差が分からなくなってくる。
小さなストーパのような形の容器が置かれていた。ひびが入っているのは「盗掘にあって中の宝物が盗まれてしまったから」とガイド。
その奥に立ち入り禁止で周囲の仏像と比べて「塗り立て」という感じの座像があった。「白人の女性が写真撮影のために手の平のところに座ってしまい、仏の力が失われたので塗り直した」という。
座るのはもちろんだめだが、釈迦像に背を向けて一緒に写真を撮るのも禁止。見学マナーに注意したい。
第5窟は名前がなく、20世紀になってつくられた新しい石窟だという。金色の涅槃像が置かれていた。
せっかく石窟内で足の裏が冷えたのに、また出口に向かう石畳は熱かった。なんの変哲もない高さ約150㍍の岩山が「聖地」に選ばれた理由は、追われた王にとっては格好の隠れ家だったからだろうか。
上りは緩やかな道を迂回したが、帰りは階段状の急な坂を下った。人から食べ物を奪うという猿が待ちかまえていたので、目を合わせないようにした。
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