水原華城(韓国)

ソウル~水原華城蒼龍門

「イサン」という韓流時代劇をご存知だろうか。18世紀末の李氏朝鮮22代国王正宗が主人公なのだが、この王が築いた城が残っている。2012年、行ってみた。

現地ツアーに参加したのでバスで行ったが、ソウル市内から特急なら30分、地下鉄なら1時間ほどで城がある水原市に着くそうだ。

ただ、水原華城といっても、城がポンと建っているのではなく、周囲6キロほどの城壁に囲まれた城なので、どこに行くかで変わってくる。

国王正宗が遷都を考えてつくった城

バスを降りて城壁を通り抜けると、着いたのは水原華城の一角「蒼龍門」だった。華城4大門の1つで、東門に当たる。パンフレットを見たら、大きな駐車場があるのは蒼龍門だけなので、車出来たらここに来ることになるらしい。

ちょうど、韓国でも桜の季節。蒼龍門の周辺は公園のような広場になっていて、日本のような並木ではなかったが、あちこちに桜が植えられている。ちょうど満開の時期にあたった。

蒼龍門から、城壁の上に上がった。正宗が王位につけず非業の死を遂げた父(思悼世子)の墓を水原に築いた。華城はその守りのための城から始まり、華城行宮という国王の別邸を中心に、門、見張り塔などを配した6キロ近い城壁でグルッと囲んでいる。

当時の都、漢陽(ソウル)からここに都を移す計画もあったという。西洋の建築技術を取り入れ、3年ほどをかけて造られた。派閥の対立など腐敗した朝廷のしがらみを断ち切るための遷都計画だったらしい。

朝鮮戦争の際に一部破壊されたが、復元されている。現在、城壁内は市街地になっていて、城壁の上に上がると一望できる。

土塁の上に築かれているのだろうが、城壁の上はけっこう広い道でつながっている。万里の長城とまではいかないが、兵士が行き来し、馬も走れそうだ。

壁面には、日本の城の壁や塀にある狭間のように、矢や鉄砲を打てるように穴が開いていたり、壁そのものに隙間を作っている。こうした隙間からは大砲ものぞかせていたという。

父の墓を守るというだけではなく、敵対勢力と一戦交えられる実戦的な城だったようだ。黒っぽいレンガを積み上げて造られており、かなり頑丈そうだ。

兵士の訓練の場でもあった門

蒼龍門の周辺で一番高いところにあるのが「東北空心墩(ドン)」という丸みを帯びた塔。空心墩は兵士が四方を見張るために使われていたといい、上に上がってみると確かに見晴らしはいい。

城壁内を見ると、さすが、城の中だけのことはある実戦的な使い方だ。華城には、建設当時の姿をとどめている建物が多く残されているが、その中でもこの東北空心墩はきれいに残されているだけではなく、空心墩の中でも特異な形の建物なのだそうだ。

空心墩を後にして城壁の上を少し下ると「錬武台」と書かれた額がかけられている建物「東将台」に。蒼龍門では弓など兵士の訓練が行われていた場所だという。

東将台前は土の広場になっており、ここで稽古をしていたのだろうか。小学生らしい一団が見学に来ていた。実際に国弓の弓射体験もできる。パンフレットには1回10射で2000ウォン(約200円)とあった。

軍事施設が随所に配置された城壁

城壁に囲まれた全体を水原華城という。中心には「華城行宮」があり、当時は水原府の官庁と行宮として使われていたという。城内には現在の建物と、正宗時代の建物が混在している。

蒼龍門から周囲を見ると、城壁が市街地の中に延びている様子が分かる。また、ところどころに華城の一部らしい建物も遠望できる。正面に小高い山(八達山)があり、その上にある「西将台」の建物も見える。

八達山と西将台

4大門のほか、司令部に当たる将台、大砲を置く砲楼、兵士を隠すための舗楼、のろしを上げる通信施設の烽楼などの軍事施設を城壁がつなぐように、城壁の各所に配置されている。

城内には「「華城列車」という観光列車が錬武台と八達山を結んで走っているので、もっと見たい方には便利だ。運賃は1500ウォンと書いてあった。

自分が今どの方角にいるかは、4つの門の旗の色を見るといいそう。蒼龍門では至る所に青色の旗がはためいていたが、東を表す色だという。

東西南北を守る四神を表し、東門の蒼龍門は青龍で文字通り青。西門(華西門)は白(白虎)、北門(長安門)は黒(玄武)、南門(八達門)は赤(朱雀)の旗で示されているという。城に着いたら旗の色を見れば自分のいるところ、方角が分かるという仕組みだ。

今回は蒼龍門の一角しか見なかったが、城壁に沿って1周歩くことも可能だそう。この蒼龍門に大きな観光案内所があるのでここを基点にするといいかもしれない。韓国の国宝に指定されている八達門と華西門、朝鮮戦争で破壊、復元された長安門をはじめ、整然とつくられた韓国初のレンガ造りの城郭を味わえる。

1997年登録

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