グランドキャニオン(米国)

ラスベガス~グランドキャニオン上空~サウスリム

「世界遺産」という言葉を知って、初めて意識して行こうと思ったのが、このグランドキャニオン(Grand Canyon)だったかもしれない。1988年、行ってみた。

ラスベガスのカジノにほぼ徹夜で「貯金」してしまった朝。まだ血走った目で、ホテルの前でバスを待った。

予約したグランドキャニオン・ツアーのため、飛行場に運ばれ、乗せられたのセスナ機。パイロットが乗客8人の体格を見ながら、シートを指示していく。

体が大きいのが関係していたのかどうか分からないが、パイロットのすぐ後ろの席を割り当てられた。

上空から見た壮大な渓谷

飛び立って20~30分ほどすると眼下に赤茶けた岩山が広がってくる。これがグランドキャニオンかあ……と、妙に感動してくるのは、寝不足のせいだったか。正確には、川が削った谷の連なりというのかもしれない。

小さい飛行機なので、左右の違いはあっても全員窓際。顔をガラスにくっつけて下を見る。外から見たら不気味だろう。

時折、バンクするので、景色がグルグル回る感じがする。これは徹夜明けのせいか。

荒涼とした風景の中に、水の青が目に飛び込んでくる。「フーバーダム」。短くパイロットがいう。
赤茶色の大地の中で、コロラド川をせき止めてできた巨大ダム湖の湖面が、鏡のように太陽の光を反射する。

グランドキャニオン空港につき、今度はバスに乗り換える。地図とタイムスケジュールを渡されただけで、すべて自由時間だった。

ラスベガスまで帰れるのか、ちょっと心配になったが、たぶんサウスリム(南壁)であろうビューポイントの展望台に着いて、目の前にそびえる広大な岩山を見ると、そんな不安はどこかにいってしまった。

 

息をのむ太古の景色

20億年から数億年前の地層が重なっている大地が、7000万年前に隆起。4000万年前から、今のコロラド川の流れによって少しずつ削られた。

最も深い谷で1800㍍、平均でも1200㍍あるという。まさしく時間も、スケールもグランドキャニオン(壮大な峡谷)。その長い歴史が、岩山の壁面にくっきりと浮き上がった地層の線で分かる。

もちろん、上の方が新しい。今削っているのは10億年、20億年前の地層ということになるのかもしれない。ちょっともったいない気がする。そんな古い地層、地球上でもそうそうお目にかかれないだろう。

逆に言えば、既に削られている上の方は4000万年前の造形ということか。いろいろな形の岩山、崖…その表情の豊かさは見ていてあきない。

4000万年前の造形の見事さ

「顔に似てないか?」「船みたいだ」「亀だろ」「ケーキか」…。太陽の傾き、雲の流れ、ちょっとしたことで、岩の色も変化する。

ボーッと眺めているだけでも時間はどんどん過ぎていくが、ここに流れている「壮大な年月」からみれば一瞬ともいえるわずかな時間でしかない。

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