サンクトペテルブルグ歴史地区と関連建物群(ロシア) エルミタージュ美術館

空中庭園に面した小エルミタージュへの廊下を渡り「パヴィリオンの間へ」。エカテリーナ2世の私的パーティーに使われ「館内でもっとも美しい装飾」という。

愛人から贈られた金製の「孔雀時計」がみもの。朝をあらわすニワトリ、夜のふくろうも並ぶ。一角には貴石のモザイクで飾ったテーブル。「これ1つでいくらだ」などかんぐりながら、旧エルミタージュに進む。

 

 

ここまで部屋の豪華さ、調度品の見事さにあっけにとられてきているが、美術館としてはここからが本番だ。

名画の洪水、ダヴィンチ、ラファエロ、ゴッホ…

イタリア絵画「ダ・ヴィンチの間」へ。「リッタの聖母」「ベヌアの聖母」の傑作2枚が鎮座している。レオナルド・ダ・ヴィンチの名画のそろい踏みだ。

 

ベヌアの聖母

「マグダラのマリア」「聖セバスチャン」など「ティツィアーノの間」で見ながら「ラファエロの間」へ。
ここにも国宝級の「聖家族」「コネスタビレの聖母」など宗教画が並ぶ。たぶん、相当なものを見ているのだろうが、感動が分散されるようだ。

聖家族

ラファエロの回廊から新エルミタージュに入ると、ルーベンス、レンブラント、エル・グレコ、ゴヤからセザンヌ、ルノワール、ゴッホ、ゴーギャン、ピカソ・・・みんなが知っている&教科書で見たことがあるような絵を飾った部屋が画家ごとに延々と続く。

撮影はフラッシュをたかなければOKだったが、失礼ながら途中であきてきてしまうほど。マチスの「ダンス」にちょっと興味をひかれた。

レンブラントの間にある「ダナエ」で足を止める。1985年に観客が硫酸をかけた上にナイフで2回傷つけた。
ギリシャ神話でペルセウスの母のダナエを描いているが、挙げた右手のあたりに硫酸がかかったという。修復が続いているが、そこだけ不鮮明な色合いになっているのが痛ましい。

冬宮に戻り1階に降り、廊下を渡って新エルミタージュの1階へ。エジプト、ギリシャ、オリエントなどの発掘物が並ぶ。

庶民の暮らしぶりが想像できる豪華収蔵品

その一角に「ゴールドルーム」。スキタイなどの黄金装飾品が収められている。最後にだめを押される感じだ。
どのぐらいの金銭価値があるのか想像もつかない。諸外国から贈られたものも多いそうだが、エカテリーナ2世ほか皇帝たちのコレクション集めに使われたのは、ほとんどが農民ら一般庶民からの税だったはずだ。
いまはこうして「開かれて」いるが、当時は庶民には無縁だったに違いない。庶民にばれないように「隠れ家」とは言い得て妙。庶民が知れば怒るだろう。
「宝石だらけのスプーン1つで何人、飢えがしのげるのだろう」などと思わされる展示品に、特権階級以外の人たちの生活もわかるような美術館だった。

1990年登録

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