ナポリ歴史地区(イタリア)

「床にあるのは12星座のモザイクです」とガイドが教えてくれたので、自分の星座を探してみた。

 

実戦も経験している実用的な城

 

ガレリアを出ると、もう傘が必要なくなったが、だいぶ暗くなっていた。

カステル・ヌオーヴォも、控えめながらライトアップされ始めていた。

ナポリ公国から支配を奪ったアンジュー家(フランス系)が13世紀に造った城だという。アンジュー家出身のナポリ王カルロ1世が、フランスのアンジェ城をモデルに建築したといわれている。アンジェ城はロワール渓谷の古城の1つとして世界遺産になっている。

城壁の四隅と正面にある5つの円筒形の塔。しかも、かなり頑丈そう。実用的な城だったのだろう。15世紀にはナポリ支配を巡る戦争でかなりの損害を受けたという。

アンジュー家に代わって15世紀にナポリを占領したアラゴン家(スペイン系)は、城を全面改装し、正面は白い大理石に彫刻を施したファサードをもつ凱旋門にした。中は博物館になっているという。

ナポリのレストランで夕食をとった後、夜行フェリーでサンタ・ルチア港(Porto di Santa Lucia)からシチリア島に向かった。ナポリは世界3大夜景(函館、香港、諸説あり)の1つとされている。丘の上から見たかったが、船上からの夜景もきれいだった。

 

青い海、青い空がナポリ

 

4日後、シチリアのメッシーナ港からナポリに戻ってきたときは、打って変わって快晴。「ナポリを見てから死ね」といわれる青い空、青い海の景観になっていた。

「ナポリ歴史地区」は王宮とカステル・ヌオーヴォのほか、海に突き出た「卵城(カステル・デッローヴォ、Castel dell’Ovo)」、「サンテルモ城(Castel Sant’Elmo)」、「カテドラル(大聖堂)」、「サン・マルティーノ修道院」、「サンタ・キアラ修道院」などが登録されている。

「せっかくの天気ですので、ナポリを見渡せる場所に行きましょう」とガイド。ナポリは2000年代半ば、マフィアも絡んでの「ごみ問題」で収集が追い着かず、街中がごみであふれていたというニュースがあった。

街を少し歩いた感じでは気にならなくなっているが、ガイドに聞いたら「街中にごみのボックスが置かれています。でも1週間置きっぱなしで、あふれてもそのまま。今もごみのポイ捨てはOKなんです」と、まだ解決とまでいかないようだ。ゴミボックスがあったが、ちゃんと分別もしている。ごみ収集直後だろうか。

道路はナポリ名物の渋滞で、道順の問題もあるのか、カステル・ヌオーヴォの周りを1周した。見ていなかった裏側? の海に面した側も車窓ながら見られた。塔を支える基壇のひだがスカートのような感じに見えて印象的だ。

住宅地を上っていき、特に展望台という訳ではないが「ここからがきれいです」とガイド推しのスポットへ。青い海が眼下に広がり、遠くにヴェスビオ火山がそびえる。海に突き出た岬に築かれたナポリ最古の城、卵城も見渡せる。この景色を見たら「死んでもいい」のかもしれない。

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