宗廟(韓国)

儒教では、人は死ぬと「魂(こん、精神)」と「魄(はく、肉体)」に分かれ、魂は天に、魄は地に帰る。魂を祀る祠堂(宗廟)と、魄を祀る墓(陵)を造って崇拝する。

最初は西側(向かって左)の建物だけだったそうだが、祀る神主が増えるに従って東側へと増築されたため、細長い建物になった。今は東西101㍍ある。西側が上位で、一番西側には太祖が祀られている。

正殿には歴代王の中でも特に功績があった王19人と王妃(正室)30人の神主49体が祀られているという。

そのほかの神主(王や王妃)は、隣にある「永寧殿」に祀られている。正殿西門から出てすぐにある。増築しても正殿だけでは足りなくなり、1421年に新たに建てられた。

正殿と造りは似ているが、真ん中が短いためだろうか、メリハリがある。ここは中央が先に造られ、東西に増築していった。

中央には太祖の先祖4代ら、合わせて34体の神主が祀られている。正殿と永寧殿を合わせて「宗廟」という。

豊臣秀吉の朝鮮出兵(文禄の役)の際に焼失したが、1608年に再建され、現在に至っている。

両殿とも、内部は神室という部屋に分かれていて、各部屋にそれぞれ王と王妃が祀られている。正殿は19室、永寧殿は16室ある。

ゆっくり案内してもらって2時間ぐらいだった。静かな雰囲気の中で見て回ったが、行くなら世界無形文化遺産になっている「宗廟祭礼」に合わせるのがいいかもしれない。かつては年5回(各季節の初めと師走)に行われていたが、今は年1回。毎年5月の第一日曜日の昼間に行われる。

1995年登録

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