トロイの古代遺跡(トルコ)

イスタンブール~マルマラ海~チャナッカレ~トロイ

「トロイの木馬」の話、ご存じだろうか。トロイ(Troy、トロイアTroia )遺跡を発掘したハインリヒ・シュリーマン(Heinrich Schliemann)の伝記などを子供のころに読んだ人も多いだろう。2004年、行ってみた。
イスタンブールを出発して、マルマラ海をフェリーで渡ってから西へ進み、チャナッカレ( Canakkale)という街に1泊した。翌朝、海岸の公園に散歩に行ったところ、ブラッド・ピット主演の映画「TROY」(2004年)の中で登場した木馬が置かれていた。


トロイにまつわる映画なども多く作られているが、なぜ?「映画を記念して、トロイ遺跡に飾るためにここに陸揚げされたばかりだそうです」とガイドが聞き込んできてくれた。
その後トルコに行った友人によると、今でもチャナッカレに展示してあると聞いた。

木馬の中に入ってみよう

トロイに行くまでに、トロイ戦争、トロイの木馬について触りを少し。吟遊詩人ホメロスの紀元前800年ごろに書いた古代ギリシャの叙事詩「イリアス(Ilias)」と「オデュッセイア(Odyssea)」にトロイ戦争の記載がある。
トロイの王子パリスがスパルタ王妃ヘレンを誘拐し、アガメムノンを総大将とするギリシャ連合軍がトロイを攻める。トロイの王はプリアモスだった。
戦いが膠着し、ギリシャ軍は木馬を残して撤退。トロイ側が戦利品として木馬を城内に運び込んだところ、中にギリシャ兵が潜んでいて、夜になって攻撃を開始し、難攻不落の城を落とした。
戦いには神話、伝説の登場する英雄たちがたくさん出てくる。中でも、ギリシャ軍にいた英雄アキレス(Achilles、アキレウス)は唯一の弱点の足首を射抜かれて死ぬのが、それがアキレスけんの語源になったという話も有名だ。
それでも、叙事詩に書かれた戦争は神話、伝説、創作だとされていた。
チャナッカレから30分ほどでトロイに着く。まずは伝説の木馬が出迎えてくれる。もちろん、トロイ戦争当時のものではなく、チャナッカレでみた映画の木馬の方が本物っぽい。


ギリシャ兵の気分になるために、木馬の体内に入れる。狭いので頭上注意。胴体部分に窓が開けられており、ここからの眺めはいい。もやがかかってよく分からなかったが、たぶんエーゲ海が遠くに見えるはずだ。
ガイドによると、かつてはこの遺跡のあるトロイの近くまで海だったという。そういえば、木馬は海岸に置かれていたはず。当時より海が後退したのか、陸地が隆起したのか。地球温暖化と関係があるのだろうか。

発見者シュリーマンの失敗

かつてこのあたりはイリオスと呼ばれ、アポロンとポセイドンが城壁を築き、ヘラクレスが攻撃するなど、ギリシャ神話のころから存在していたとされる。
遺跡の入り口にある解説板によると、実際には紀元前3000年ぐらいに始まる城塞都市遺跡で、紀元前350年ごろまでの、9つの時代の遺跡が積み重なっているという。

  1. この記事へのコメントはありません。