黄龍風景区(中国)

川主寺~雪宝山展望所~黄龍

足が、前というか、上というか、なかなか出ていかない。頭の奥深いところで鈍痛のような不快感。これが高山病なのかなあ、とぼんやり思いながら、20~30歩ぐらい進んではちょっと立ち止まる、を繰り返して、遊歩道で体を持ち上げていく。
最初は軽快だったのに。やはり標高3000~3500㍍の富士山頂クラスの高地だけのことはある。
中国・四川省、岷山山脈の主峰雪宝山(5588㍍)のふところの谷に広がり「黄龍、天下に絶」と呼ばれる絶景がある。2003年、行ってみた。

「天下に絶」の表現は本当か?

「白髪三千丈」など大げさな表現がある中国の中でも最大級に形容された場所なので「高山病怖い」などとは言っていられない。
高地慣れのため、前夜は標高2500㍍ほどの川主寺という町に宿泊。そこから標高3600㍍ぐらいの峠を越える。展望所のようなところで一瞬望めた雪宝頂には、傘のような雲がかかっていた。約2時間で黄龍に着く。

山の斜面に沿って目的地の標高3500㍍の「五彩池」まで片道約3時間という坂道を上る。入口から歩き始めると「かごに乗らんかね~」(たぶん)と声を掛けられた。「プ・ヤオ(不要)」と言うと去っていく。乗りたい人は笑顔で首を縦に振ればいい。
乗らなかったので料金は聞いていないが、当時工事中だったロープウエーがいまは完成しているというので、彼らは失業したかもしれない。
林を抜けると、まず「迎賓彩湖」が文字通り「迎えて」くれる。

黄龍の風景は大きく2通り。石灰分が堰をつくって棚田状に池が連なっている場所と、滝を含めて黄色い石灰岩の岩盤を水が流れ落ちる川が、連続している。迎賓彩池はそんな黄龍全体のミニチュア版といった感じの場所だ。「天下に絶」と言われるだけあって期待も高まる。ここから上りながら、さまざまな景色を堪能する。

登山道と下山道、どちらを歩けばいいか

遊歩道は2通りあり、登山道と下山道。一方通行ではないのでどちらを上り下りしても構わないといわれた。登山道の方は景色をつぶさに見ながら上っていく。下山道は距離的には短いが、林の隙間から風景を見る感じだという。当然風景重視なので「登山道」を行こう。


ちなみに、2006年に開通したロープウエーで上まで登って下りるだけの場合は「登山道」を下りた方がいい。今は下山しながら見る人が多いのだろうから、そんな呼び名はないかもしれない。途中で2つの道が交差しているところもあったので、間違って下山道に入ったら戻ろう。
下山の時に一部下山道を下りてみたが、確かに登山道と違った風景は楽しめる。ただ、池までの距離が少し遠く、池に接している登山道とは臨場感が違う。見下ろす感じのところが多いので、光の方向が変わって、池の水の色が違ってみえる楽しみはある。

  1. この記事へのコメントはありません。