黄龍風景区(中国)
早くも酸素の薄さを実感する。単に不摂生による体力の衰えかもしれないが…無理は禁物。ときおり「心臓破り」的な上りもあり、そのために酸素ボンベと水、適度な休息が必要で、ベンチがところどころにあるのも助かる。
そこから次々と現れる棚田状の池群。「瀲絶湖」は、水中の藻できれいな黄緑色にみえる。名前ほどではないとは思ったが。
水の中に小さな木がところどころに生えて盆栽のようになっている「盆景池」。これは名前の通りの景色が広がる。
鏡のようなきれいな水をたたえた「明鏡倒映」といった名前が付いた池群がでてくる。
酸素不足の中で全部覚えるのはちょっと無理。印象に残ったのだけでも覚えておこう。または書き留めよう。
黄龍のハイライトはさすが「絶」
青や緑の色に染まったように見える池が650以上ある「争艶彩池」は見事な「絶」だ。ちょうど体も気持ちも萎えそうになってくるあたりで、奮い立たせてくれるように現れた。
池群をつなぐように、先に見た飛瀑流輝のような滝や黄色い岩盤の流れ、遠くの山々や周りの森などがアクセントを付ける。
名前の由来は艶やかな池の競演。名前負けしていない。残念ながら曇天だが、ガイドは「晴れているときれいですが、光って色がはっきりしないこともあります」と慰めてくれた。
さらに登る。「黄龍中寺」という道教寺院が見えてきたら、終点は近い。
ほどなく、終点のチベット仏教寺院、黄龍古寺(後寺)にたどりつく。ともに明(1368~1644年)の時代に創建されたといい、2つ合わせて「黄龍寺」というそうだから、ここでは宗教が同居している。
富士山より少し高い標高3500㍍。さすがに達成感はある。迎賓彩池から黄龍古寺にたどり着くまで約3時間半かかった。ゆったりとした旅程を組む方が、心にも体にもいい。
「黄色い龍」誕生の訳
黄龍の成り立ちを簡単に。九寨溝と同じ岷山山脈のふところにあり、谷は石灰岩の岩盤。ここの岩盤は黄色いので、水の流れでむき出しになったところは光の加減もあるが、黄色や金色に見える。
流れる水には石灰分(石灰華)が溶け込んでおり、流れの緩やかなところに落ちた落ち葉などの障害物に当たるとそこに付着していく。長い年月を経て、付着した部分が大きく成長し、堰をつくって水をせき止め、棚田状の池群を形成した。
流れの速いところはそのまま川や滝になって残り、曲がりくねった黄色い谷底にうろこのようなたくさんの池が点在。「黄色い龍」が誕生した。
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