デリーのフマユーン廟(インド)

デリー市街~フマユーン廟

インドの代表的な建築といえば、アーグラーにあるタージ・マハル。白い大理石の霊廟だが、デリーにはそのタージ・マハルの原型になった廟がある。「フマユーン廟(Humayun’s Tomb)」に2016年、行ってみた。
デリー市街のホテルから車で30分ほど、森に囲まれた一角に、その廟は建っている。

カップルの見学者が多い廟

駐車場から行くと、まず白い門をくぐる。


門をくぐったら後ろを見てみよう。入る側と出る側では、門の装飾が違っている。


まっすぐ歩いていくと、また門がある。「西門」という立派なつくりの門だ。高さ16㍍。アーチの形がインドっぽい。


「フマユーン廟はカップルが記念撮影していることが多いです。撮影には気を付けてください」とガイド。確かに、門の中ではカップルがいた。気にしないで撮影したが。


門と言っても、建物の中には部屋もあるという。そういえばかなり「厚み」のある門だった。


そのまま進むと、フマユーン廟が噴水のある池の向こうに現れる。朝9時過ぎ、ちょうど逆光になっているので、まぶしくてはっきりと姿を見られないのが残念だが、近くに行けばはっきりするだろう。


この池に映る廟もなかなかいいそうなのだが、噴水が出ているので水面がさざ波だっている。入場開始時間から出しているということは、止めることがあるのだろうか

階段から落ちて亡くなった皇帝

太陽の光を遮りながら、廟の下に来た。高さ2㍍ほどの基壇の上に、白い大理石と赤い砂岩で造られたもう1つの基壇がしつらえられている。


基壇は高さ7㍍で、80㍍四方の正方形をしているという。アーチがあり、窓にようなものがあるので、部屋になっているのだろうか。アーチ1つ1つが装飾されている。


階段を上がって基壇の上に出ると、フマユーン廟がドーンと建っている。こちらも白い大理石と赤い砂岩でできている。幾何学模様が2つの色を使ってきれいに出されている。


上に乗っているドーム部分を除く「廟堂」は、高さ21㍍、幅、奥行きとも48㍍というので、4つの面はどこも同じ造りになっている。


せっかくなので、朝日を浴びている方へ行った。廟堂の1面は、まず正面がイーワンと呼ばれるアーチが開いている。その両側には副房という2つのアーチがある。
廟堂の上にある小さな傘のある建物は「チャトリ」と呼ばれるそうだ。イーワンの上に小さな傘の屋根付きのものが2つ、四隅に大きな傘の建物が乗っている。


その形が4面ある。「シンメトリーになっています。2階、3階があるように見えますけど、何もなくてテラスになっているだけ。デザインとして造られています」とガイド。


ムガール帝国の始祖はバーブル(バーブル)。その長男がフマユーンで、小さいころから病弱だったという。バーブルが早世し、1530年に22歳で王位を継いだが、10年でデリーを始め父が広げた領土の大半を失った。
ペルシャやアフガニスタンなど15年にわたって流浪し、1555年にペルシャの支援を受けてデリーを奪回。領土を回復した。
しかし、喜びもつかの間、翌1556年に階段から落ちたのが原因で、3日後に死去したという。

初のペルシャ様式がタージ・マハルの原型に

この廟は、ムガール帝国2代皇帝のフマユーンの妃、ペルシャ出身のハージ・ベガムの発起によって造られた。正妻ではなかった。10年近く費やし、1565年にインドで初めてのペルシャ様式での廟が造られた。
中に入った。中央に棺が置かれている。「イスラム教にはお墓があります。ヒンドゥー教にはお墓はありません」とガイド。この棺は「レプリカです。本当の棺はこの真下の地下にあります」という。


ドームの天井を見上げる。ドームの高さは外側は38㍍だが、2重になっていて内側のドームは外側より12㍍ほど低い。真っ白の大理石で、中央には幾何学模様の装飾がされている。


周りの部屋にも棺が置いてある。「親族や子供たちの棺です」という。この廟全体で100人以上が埋葬されているといい、家族、親族から側近まで、みんながこの廟に葬られているようだ。


外に出て、もう一度廟を見上げる。そういえば、ユダヤ教ではなく、イスラム教なのに六芒星(六角星)がいろいろなところにつけられている。「皇帝が好きなデザインだった」(ガイド)というのが理由だという。日本でも籠目という同じ六芒星の文様がある。魔除けになるという。こうしたデザインも日本に伝わったのだろうか。


この優美な建築が、のちに影響を与えた。シンメトリーの構造やアーチの使い方など、タージ・マハルの原型になった。
ちなみに、廟の周囲の庭園も「四分庭園」と呼ばれる、ペルシャ様式の庭園だという。領土奪回に手を貸した、妃の出身地でもあるペルシャの影響が、色濃く反映された霊廟のようだ。。

1993年登録

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