古都京都の文化財(日本) 西芳寺(洛西)


とにかく、苔寺だけあって、遊歩道の周りは苔、苔、苔…。木の根も石も苔に覆われている。


屋久島の「もののけ姫の谷」白谷雲水峡で苔むす世界を見てきたが、今回は純粋に自然のものとはいえないながらも、苔の緑一面の世界がホッとする空間になるのはなぜだろうか。

歴史上の人物の隠れ家に使われた

順路で行くと、池の周りを反時計回りに歩いていく。「湘南亭」という建物がある。
同寺のHPによると、安土桃山時代に千利休の次男、千少庵により建立された茶室。張り出した部分が月見台という。千利休が豊臣秀吉から切腹を命じられた時、一時隠れ家として利用したと言われ、明治維新の時には岩倉具視がここに隠れた。要人の隠れ家としてよかったようだ。

湘南亭茶室

西芳寺は聖徳太子の創業で、約1300年前に行基が開山、鎌倉時代の約650年前に夢窓国師が禅寺として再興し庭園を造った。上下二段式で、上段は枯山水、下段は池泉廻遊式庭園。国の史跡・特別名勝に指定されている。


中央の池は心の字の形をした心字池といい、「朝日ケ島」「夕日ケ島」が浮かんでいる。島に渡る橋もあるが苔むしているので普段は渡らないのだろう。

朝日ケ島

120種類の苔は梅雨時が一番美しい

「潭北亭」という小さな建物の前を通る。黄金池の中にある夕日ケ島を左手に見る。島の中に祠が見える。「鎮守堂」と書いてあった。

夕日ケ島と鎮守堂

黄金池をほぼ1周したあたりに「向上関」という小さな門がある。くぐると山道に。黄金池を見下ろしながら上がっていく。


「指東庵」という建物にでる。ここは開山堂で、行基や夢窓国師の木像が祀られているという。

指東庵

壁に「枯山水→」の紙。その方向へ行くと、庭園の上段、枯山水の石組にでる。夢窓国師による日本最古の枯山水の石組で、1339年(暦応2)に造られたという。


座禅石などを見ながら入口方向へ下山、庭園入口にある休憩所に出る。名残惜しいのでまた黄金池の方に行ってしばらく苔を眺めてきた。


西芳寺にある苔の種類は120種類にも及び、最も美しい時期はやはり梅雨時だという。もう少し時期が遅ければ、もっとよかったのかもしれない。

1994年登録

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