デリーのクトゥブ・ミナールと建物群(インド)

デリー~クトゥブ地区

約1700年、錆びない鉄柱がインドに立っている。中学生のころに本で読んでずっと気になっていた。2016年、行ってみた。
デリー市街、と言っても市街地のどの辺かはよくわからなかったが、街中のホテルから車で1時間ほど。公園のようなところが、クトゥブ・ミナール(Qutub Minar)の遺跡だ。駐車場から歩いていくと、すぐに高い尖塔が見えてくる。

インドで初めてのイスラム王朝

現在のインドはヒンドゥー教の国だが、イスラム教徒によって統一された時期がある。最初が「奴隷王朝」時代、11世紀のことだ。その時の王が奴隷階級の軍人だったアイバクで、北インドを統一して王朝をたてた。
何回かに分けてこの地区の建物が造られ、大半は崩れてはいるが長方形の城壁に囲まれていた。庭園を通ってすぐのところに、石積みの「クワット・アル・イスラム・マスジッド」がある。


このあたりには元々、ヒンドゥー教とジャイナ教の街があったという。アイバクは、それら27の寺院を壊し、石材を再利用してインド最古のモスク(マスジッド)などを建てた。

残っている回廊の中を通る。柱にしろ、壁や天井にしろ、なにげに危なっかしい。「ヒンドゥーの石材を使って柱を立てたので、模様はヒンドゥー」とガイド。


イスラムの彫刻ではなく、ヒンドゥーの彫刻のうち、偶像を除いた石材を使っているそうで、そういわれると列柱の模様に統一性がない感じがする。
回廊の横に、マスジッドとして使われていたと思われる建物が建っている。観光客が出入りしていた。

世界最大級の赤い尖塔

マスジッドにすぐ横の立つ塔が「クトゥブ・ミナール」。世界最大級のミナレットだ。ミナレットはモスクに必ずと言っていいほどあり、教徒に礼拝を呼びかけるための塔だ。


確かに高い。「72.5㍍あります。今は5層ですが、できたときは7層でもっと高かった。100㍍ぐらい。上2層は地震で落ちた」とガイドはいう。


塔の壁面がおもしろい。レンガのようにした赤色砂岩を積み上げているが、第1層は細い円柱と三角柱(四角柱?)を交互に束ねたような感じで造っている。


途中に彫刻が施された部分が帯のように巻かれ、人が通ると思われるバルコニー(?)部分までが1層。これが、上に行くにつれて細くなっていって5層ある。
第2層は円柱、第3層は三角柱と、外壁のデザインがおしゃれだ。


アイバクがインド入りを記念して1層目を造り始め、その後3層目まで3代目のイルトゥミシュが造ったという。ここまでは赤色の砂岩で、その上の層は白っぽい石が使われ、別のイスラム王朝によって1368年に完成したとされる。


彫刻部分はアラビア文字でコーランが刻まれている。内部には階段が379段(369段とも)あり、かつては登れたが、転落事故があってから登れなくなったというので残念。


地盤沈下ですこし傾いているということだが、見た目にはよくわからなかった。いずれピサの斜塔のようになるのだろうか。

門外にあるイスラム建築の霊廟

クトゥブ・ミナールの横に「アライ・ダルワザ」という立派な門がある。入ったのは城壁の内側なので、外からの訪問者にとっては出口。門の中は広いのだが、閑散としていた。

  1. この記事へのコメントはありません。