ナスカとフマナ平原の地上絵(ペルー)

車の侵入で消された線も多い

さて、上空に戻ろう。「オトモダチ、テトキ」。下を見ると、1本の道路が大地を横切っている。パンアメリカン・ハイウエーだ。まだこの大地に地上絵の存在がおぼろげだったときにつくられたため、地上絵の中の一部を削ってしまっている。


特にハイウエー周辺は車の進入でわだちが出来て、線を消してしまっているものもある。「手と木」は、そのハイウエーのすぐ横にある。
近くにこれらの地上絵を見るための展望台が建っている。全長45㍍の「手」の指は一方が4本で、見た限りでは足かもしれないとも思った。


70㍍の「木」はこのあたりでも生育しているワランゴという木だといわれている。


これまでハイウエーを挟んで西側を見てきたが、東側にも多くの地上絵がある。「手と木」の反対側に「フラミンゴ」がある。全長300㍍と巨大だ。


古代ナスカの人たちにはそう見えていたのだろうか、首が曲がりくねっていて長い。これも後からついたような道路や線でちょっと見にくくなっている。現地で買ったガイドブックには「カツオドリ」となっていた。


続いて「オトモダチ、オウム」のアナウンス。これもこのあたりのオウムはこんな姿なのだろうか。


頭から大きな飾り羽? が突き出している。全長200㍍と、こちらも大きめな地上絵だ。鳥の絵が多いのは理由があるのだろうか。確かに飛んでいる鳥からこの地上絵は見えるだろう。


そこから少し北へ飛行して、渓谷などもある小高い平原に行く。このあたりはパルパと呼ばれ、ナスカより古いパラカス文明があったとされている。そこにも地上絵が描かれている。「パルパのハチドリ」が有名だ。


ハチドリは2つ目だが、先に見たハチドリよりもハチドリらしいと感じた。ナスカの人々にとってハチドリは特別な鳥だったのかもしれない。確かに、空中に止まってホバリングする姿は不思議に思える。


最後に「オトモダチ」に見せてもらったのは「ホシ(星)」。2つの正方形と円形を組み合わせて描いたもので「パルパの十字」と呼ばれているそう。


パルパの渓谷には、丘の斜面に王族など人物が多く描かれているという。これで40分ほどの地上絵上空飛行は終わった。

実際に見ると不思議度が増す

想像していたよりは地上絵は小さいものが多かったが、実際に見ると不思議さは増してくる。
なぜ、地上絵が描かれたのか、という謎にさまざまな説がある。ライヘが提唱したのは、星座を写し取り、星の動きで乾季や雨季を知る「天文カレンダー説」。
そのほかにも、詳細は省くが、一筆書きの絵が多く、白線部分は歩くようにできていることから「雨乞い儀式利用説」や、線上を歩かせて何が書かれているかを「テストする」説、水源や水脈の位置を教えている説などがあるという。
具象画の説明にはどれもありそうな気もするが、線画も含めたすべての地上絵を的確に言い表すまでにはいかないようだ。巨大で長い線は滑走路のようでもあり「宇宙からも見られる」という大きなものもあるため「UFO滑走路説」もある。

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