ナスカとフマナ平原の地上絵(ペルー)


ただ、サングラスは外した。確かに光の関係で見やすい感じはしたが、今度はデジタルカメラの液晶がみにくいので、何が撮れているのか分からない。確かに人間、とは言いがたい地上絵ではある。

地上絵を見て行くとわかるのだが、デフォルメされてはいるとはいえ、特徴をとらえてけっこうリアルに描かれている。なので、この絵は普通の人間を描いているとは思えないのだが…。

「オトモダチ、サル」で、今度はしっかり肉眼でも見ようと目を凝らした。サルの地上絵もおなじみだ。尻尾を巻いて、手を前に出している。


「小さい」と思って翼の下に注目していると、サルの地上絵が見えた。やはり、そんなに大きくは見えない。全長110㍍。最初のクジラが63㍍だったから、見つけやすかったのかもしれない。
ちなみにカメラは少しズームしておいて何枚か撮るようにした。無理に大きくズームすると見失ったり、動いているので時間をかけると機体の一部に隠れたりしてしまうと思ったので。


地上絵は次々と現れる。すぐに例の「オトモダチ」コールで、今度は「イヌ」。これは小さい。全長51㍍。


ただ、目が慣れてきたのか、見つけやすくなってきている。コツとしては、「ミギ、ハネノシタ」という通り、翼の下の地面にたくさんある線などに惑わされずに、パンフレットにある絵を見ておいて曲線を見つける。

地上絵のスター級が登場

どんどん行こう。「コンドル」は大きかった。くちばしの先から尾羽の先まで136㍍ある。ここまで来ると、すぐに見つけられるようになってきている。


コンドルはアンデスの「神の鳥」。少しデフォルメされているが、アンデスの人たちにとっては大切な絵になるのだろう。


続いて出てくるのは「ハチドリ」。テレビなどでおなじみで、ナスカの地上絵のスター的存在だろう。こちらもけっこう大きくて96㍍ある。


初めて目にする、謎に満ちた地上絵。知識として知っているものが、本当に目の前に現れる。8の字飛行に左右へのバンクと、セスナはほとんどじっと飛んでいないが、幸い酔いは来ない。酔っている場合でもないが。


地上絵の上空、例のアナウンスが流れるまでは地上を眺めていよう。ナスカ平原という場所だが、けっこう山や谷が多い。水の流れた跡(川の跡)がたくさんある。
地上絵に重なるような跡はそう多くないので、描かれる以前は水の豊富な土地だったのかもしれない。そんなことを思っていると「オトモダチ、クモ、ミギハネノシタ」とどんどん見なければならない。


これもよく知られている。全長46㍍と小さいが、くっきりと描かれているようで、見つけやすかった。

地上絵の描き方は?

一息つこう。「地上絵」の歴史を簡単に。
飛行機の登場で、このあたりの上空を飛ぶ人が地上に何か描かれていることに気づいていたが「地上絵」として認識されたのは1939年、米国のポール・コソック博士が発表してから。
その後、コソック博士の共同研究者だったドイツ人数学者マリア・ライヘがナスカに住みつき、地上絵の発見と研究、そして保護に生涯をささげた。
地上絵は具象画(動植物や擬人など)と幾何学画(直線や図形など)の大きく2種類あり、幾何学画は1000以上見つかっていて圧倒的に多い。
動植物などの描き方は、台地に小さな下絵を描き、定点を紐と杭で等倍に拡大していき、地表にある酸化した黒い石を取り除いてすぐ下にある石灰岩の白い地面を露出させる、という方法。
ライへがこのあたりに栄えたナスカ文明との関連性を確認したことで、紀元前100年から750年ごろに描かれたとされている。年間雨量数ミリという乾燥した大地が、地上絵を現在まで残した。

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