ペルガモンと重層的な文化的景観(トルコ)
大きなアーチというか、土管のような形になっているところがあった。丘の上ということもあるのだろう、大きな貯水槽だったという。
最も重要な遺物があった場所
崖を見下ろすと、眼下には「大劇場」がある。急斜面を観客席に利用している。上り下りがきつかっただろうが、谷底にあるステージは見やすく、声も響いたのかもしれない。
大劇場越しに見える街がベルガマ。「紀元前からずっと都市として記録に残っているのは世界でも珍しいと言われます」とガイドは説明した。
大劇場の上に平らになったところがある。木がポツンと立っていたが「ここがゼウスの大祭壇(神殿)が発掘されたところです。持ち去られて何もなくなった」とガイド。紀元前2世紀に造られたものだ。
ベルリンのペルガモン博物館の話をすると「ここにあれば、もっといい観光地になるんですけど」と肩をすくめた。基壇だけが残っている。
やはり、持ち去られた側は納得がいかないだろう。買い取ったわけではないだろうから、略奪ともいえる。そうした場所が世界中にある。ただ、文化財の保護も含めると、考えさせられることではある。
古代の病院の治療方法は「天の声」
アクロポリスの丘を降り「アスクレピオン」という遺跡に行った。ギリシャ神話の医術の神アスクレピウスの名前を取った診療所だったという。アクロポリスのふもとの「下市」から「聖なる道」でつながっていたといい、その道の一部が残っている。
診療所に入るあたりには大理石の門柱が立ち、蛇とお椀の彫刻がある。いまも欧州の薬局の看板にある蛇のマークの起源になったという。
「聖なる泉」がまだ湧き出ていたので手を洗ってみた。飲めるかどうか聞いたが「やめた方がいいです」と止められた。ラジウムが入っているというので、体に良さそうなのだが。
ここから地下道を通って治療する建物に行く。かなり崩れているので当時の様子は分からなかったが、ここで医者たちが天井から患者に見えないように声をかけて「天の声として励ましたり、命令していた」(ガイド)という。
石造りの天井には大きな穴が開いていた。そこから声をかけたのだろう。
劇場や図書館なども併設されていて患者を楽しませていたらしい。どうやら直接の治療というよりは、「病は気から」のような宗教的な治療だった感じがした。
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