エローラの石窟群(インド)

仏教窟第10窟

確かに入り口の上を飾る彫刻類も見事なもの。中に入ると、クジラの骨格標本の中に入ったような感覚になる。
天井の柱のデザイン、どこかで見た感じがするのは、アジャンター石窟寺院のチャンティヤ(礼拝堂)が似たような天井の装飾だった。当時はこのデザインが主流だったのだろうか。

奥に仏陀の像が置かれている。といってももちろん、別に作った置いたのではなく、岩山を削りだしたもの。椅子に座って足を少し開いている姿は、これもアジャンターにあった像と似ている。
ガイドブックによるとここは「大工の石窟」と呼ばれているそうだ。仏陀の後ろにはストゥーパ、天井の彫刻もアジャンターのものと似ていて、移ってきた職人の手によるものというのは本当だろう。完成度も高い。

未完成のままの石窟が並ぶ

そこから先はガイドが「自由に行ってきてください」というので、1人で歩き出した。窟を結ぶ道には「第〇窟」という白い字と矢印の表示がされているのだが、なかなかわかりにくい。窟の入り口に「第〇窟」と書いてあるものとないものがあるので、これもわかりにくい。
第6~9窟は密集していて、どれがどの窟なのかよくわからなかった。たぶん、第6窟から入った。入口の彫刻はきれいだ。

仏陀の像が置かれ、そのほかには多少の彫刻はあるのだが簡素。僧院だけのことはある。

2階に上がって外に出たら第9窟と書いてあった。あれ? どうやら中でつながっていたらしい。外側にある彫刻が印象に残った。柱などは未完成らしい。

第5窟は「僧侶の学校」と書かれていたが、なんとなく教室風だ。第4窟はわからず、第3窟は入り口に彫刻が施されて、中にはやはり仏陀像。第2窟は崩れそうなのか、立ち入り禁止だった。

最初にエローラに造られた第1窟にたどり着いた。見てきた仏教窟は簡素といえばそれまでだが、どれも未完成で終わっているようだ。たぶん、作っているうちにヒンドゥー教窟の需要が高まって、仏教窟から手が離れたのだろうか。
ガイドもあまり説明することがないので「ご自由に」と言ったのだろう。最後に第1窟から石窟が連なる光景を振り返った。

1983年登録

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