アーグラー城(インド)

アーグラー~アーグラー城

デリーから高速道路で2時間ほど。午後4時ごろに古都アーグラー(アグラ)に着いた。「日没(7時前ごろ)まで開いているので、見に行きましょう」とガイドが促した。
アーグラー出身のガイドは「アーグラー城(城塞、砦)」のことを「レッド・フォート(赤い砦)」という。デリーにも世界遺産のレッド・フォートがあるので、こうした城はいくつかあるのだろうか。2016年、行ってみた。
レッド・フォートというだけあって、傾きかけた陽を受けて赤砂岩の城壁、門、建物が赤い色を際立たせていた。

赤砂岩が美しい

城だけあって、観光の入口として開放されている、かなり頑丈そうな「アマル・スィンフ門(南門)」を抜けると、道は曲がり、また門がある。

「攻め込まれたときのために、宮殿に行くまで門が3つあって、道もジグザグになっています」という。日本の城でもよく見かける。城とか砦とかは、時代や民族などに関係なく同じような造りなるものなのだろう。

3つの門を抜けると、広い庭に出る。奥にこれも赤砂岩でできたりっぱな建物が見える。庭の真ん中あたりに石でできた大きな椀状のものが置かれている。「これはお風呂だったといわれています。横に階段もついている」という。ほかにも説があるようだが、ここに置かれていたものなら360度丸見えの露天風呂だ。

建物は「ジャハンギル・マハル」という宮殿。このアーグラー城は、ムガール帝国の第3代皇帝アクバルが1565年建設を始めた。
ムガール帝国については歴史で習った記憶がある方もいるだろうが、16世紀に中央アジアから、初代皇帝のバプールがインドに侵入し、帝国を樹立。第2代皇帝のフマユーンが領土の多くを失ったが、第3代アクバル大帝が北インドを征服するなど領土を拡大して、最盛期を迎えた。
「ムガール」は「モンゴル」のことだという。

ムガール帝国最盛期の城

ジャハンギル・マハル

城壁や門など見ても分かるようにこの城を重厚な造りにしたため、夏は風通しが悪くて暑く、アクバルは建設中の1571年に郊外のファテープル・シークリーに新たな城(宮殿)の建設を始め、完成すると移してしまった。

第4代皇帝ジャハンギルがアーグラー城を整備し、第5代シャー・ジャハーンがさらに増改築した。
大まかに言えば、赤砂岩の建物はアクバルとジャハンギル、白大理石の建物がシャー・ジャハーンによるものらしい。白大理石の霊廟タージ・マハルを造ったシャー・ジャハーンは相当白好きだったようだ。

ジャハンギルが造った赤砂岩の宮殿の近くに行くと、白大理石で象嵌(がん)を施したり、彫刻したりして、壁面はかなりの装飾がされている。赤と白のコントラストがきれいだ。
宮殿内にも多くの部屋があって、そうした装飾がされているという。門をくぐると中庭へ出る、外観だけしか見られなかったが、中庭の側から見てもイスラム建築らしく、幾何学模様や草花の意匠で飾られている。

赤と白のコントラスト

ここを抜けると今度は白大理石の宮殿がある。「カース・マハル」(案内板はシャー・シャハーン・マハル)で、こちらはシャー・ジャハーンが1636年に造った。
元々は赤砂岩の建物があったそうだ。

「カース」というのは「特別な」という意味だそうで、親族や女性、子供たちが住んでいたところだという。宮殿にはたくさんの小さな部屋があって、扉を開ければ風通しがよくなり、住環境が改善されたという。

内部に入る。白い壁面にさまざまな模様の彫刻。ただ、残っている色がくすんでいるように見える。「壁や天井などに全部金が使われていましたが、英国人が全部持っていってしまった」(ガイド)という。剥ぎ取られたことで、今のような模様になったのだろうか。
それでも、まだ壁や屋根に金を張ったところが残っている。宮殿全体に金が使われていたとしたら、かなりの金が持ち去られたのだろう。略奪は世の常なので、やはりタージ・マハルの象嵌の宝石が残っているのは奇跡なのだろうか。

カース・マハルからは使用人らが住んでいたアパートのような建物に囲まれた広い中庭が見える。「アングーリー庭園」というそうで、ブドウの木が植えられ、ワインを作っていたという。

階下に下りて隣にあるのが「シェーシュ・マハル(鏡の宮殿)」。アクバル大帝はイスラム教だけではなく、インド統治を進めるためヒンドゥー教など他宗教も受け入れて、王妃や重臣にした。
「ここには3つの部屋がありました。ここに来て王妃がシャワーを浴びたそうです。王妃は3人いて、イスラム教、クリスチャン、ヒンドゥー教だったそうです」という。

ここからまた2階に上がると、突き出したように楼を持つ「ムサンマン・ブルジ」という王妃が住んでいた美しい宮殿がある。この城を白大理石にしたシャー・ジャハーンの悲劇の舞台でもある。

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