天壇公園(中国)
北京~天壇公園~祈年殿
真っ青な空にそびえる、瑠璃色の瓦に丸屋根の塔。いつもこうした姿で紹介されている、北京を代表する建物が天壇公園にある。2002年、行ってみた。
9月の北京は、どんよりとして蒸し暑かった。「この時期の青空はあまりきれいじゃない」とガイド。うっすらとした青空は天気が悪いと言うよりは「風があまり吹かないので、排気ガスなどで空気がよどんでいる影響の方が大きい」という。このころからすでに現在深刻な問題になっている大気汚染が始まっていたのだろう。
残念ながら「真っ青な空」とはいかなかった。あの姿は乾燥して風が吹く真冬の北京らしい。
五穀豊穣を願う儀式の場
天壇公園は主要な建物が南北にほぼ直線に並んでいる。文字通り「天」を祀り、五穀豊穣を祈った場所だという。明の永楽帝が1420年に完成させたといい、清朝でも増改築が行われて、祀り事を引き継いできた。
天を祀れるのは皇帝一族だけなので特別の場所でもあった。
南側にある「園丘」に入った。白い石でつくられた円形の壇が3段になっている。最も重要とされていた数字9の倍数で階段や欄干、石板が造られている。
階段を上って最上段にいくと、真ん中に「天心石」という平たい石がある。「上に乗って大きな声を出してみてください」というので、乗って叫んでみた。「こだまがが返ってきます」というので、耳を澄ましてみたが、あまりはっきりとは聞こえなかった。
この園丘では、冬至に天をまつる儀式が歴代皇帝によって行われていたという。たぶん、真っ青な空が広がっていたことだろう。
天心石の上で天に向かって祈りを捧げていたというから、こだまが返ってくれば、皇帝の神秘性をさらに高めたに違いない。
音を使った仕掛けの意味は
園丘を下りて北側へ向かうと、すぐに「皇穹宇」という、円い屋根を持つ木造の建物がある。印象的なシルエットの建物で、皇帝の位牌が収められているという。
ここでも「音のマジック」が体験できる。丸くカーブした円形の壁に囲まれていて、ガイドが「反対にいてもこちらの声が聞こえます」というので、離れて小さな声で話してもらった。向こうの声が壁を伝わってこちらに聞こえてくる。
「回音壁といいます」。確かに音が回ってくる。何のためにこの壁が必要だったのかは分からないが、ここではひそひそ話もできそうもない。想像するに、盗聴するということだろうか。
「三音石」という、1番目の石の上で手をたたくと1度、2番目は2度、3番目は3度、音が跳ね返ってくるという石もあったが、こちらもあまりはっきりとは分からなかった。
どうやら、当時は音に対して敏感だったようだ。
皇帝の道の先に瑠璃色の建物
「丹陛橋」というメーンストリートに入る。石畳の道の真ん中だけ磨いたように細く平らな道になっている。皇帝が歩く道だそうだ。いよいよ目的の建物「祈年殿」は正面に建っている。
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