アイト・ベン・ハッドゥの集落(モロッコ)
ワラザザード~カスバ街道~アイト・ベン・ハッドゥ
「カスバ街道」という道がモロッコにある。カスバ(Kasbah)とは古い城砦のことをいう。その中でも、数々の映画の舞台にもなった保存状態のいい村が「アイト・ベン・ハッドゥ」(Ait-Ben-Haddou)。2014年、行ってみた。
モロッコの背骨に当たる「大アトラス山脈(オート・アトラス)」の南側、サハラ(砂漠)の北の縁を通っているのが、通称「カスバ街道」。エルフードからワルザザートを通ってアイト・ベン・ハッドゥへ、東から西へ進んだ。
「カスバ街道」を走る
ティネールのオアシス都市や、ティフルトゥトのカスバなど代表的なもの以外にも、街道沿いにカスバはたくさんある。
「カスバには1家族が住んでいます。350年前ぐらい前からのものも多く、北アフリカに住んでいるベルベル人のカスバは、屋根がギザギザになっていて、窓は小さく格子状になっています」とガイド。
カスバ街道を走る車窓からは土のレンガでつくられた頑丈そうな建物が次々と見える。元々は囲む塀もあったが、今はなくなっているものも多い。
「人は住んでいますが、空き家になると次の人はなかなか住みたがらない。外壁を土で塗っていて夏は涼しく冬は暖かいのですが、壁が厚くて中が狭い」という。廃墟になって崩れてしまっているものも目に付く。
「カスバの女」という歌は私の子供のころのヒット曲でよく覚えていないが、曲名だけはしっかり覚えている。歌詞を確かめてみたら、アルジェリアが舞台の歌だったが、チュニジアやモロッコも登場する。
ガイドによるとモロッコでは「クサル」という城砦化された村がある。カスバの集まりとでもいうのだろうか。アイト・ベン・ハッドゥは「クサル」の代表格で「ベルベル人の中のハッドゥ族のつくったクサル」だという。
「これだけ大きいクサルを築いたので、ハッドゥ族もかなり大きな部族だったようです」という。一望できる丘でバスを降りた。川を挟んだ対岸の岩山の斜面に、びっしりと土レンガの家が連なっている。
現在は「5家族が住んでいます」という。他の家族は近くに出来た新しい村に移住している。電気や水道ほか、不便らしい。遠望した限りは家や塔がたくさん立っていて、相当大きな村のようだ。
土で築かれた建物が密集
駐車場から民家の脇をすり抜けながら、マレ川にかかる橋を渡って、アイト・ベン・ハッドゥの集落の入口に出る。
橋から見上げる岩山の地層の色がさまざまできれいだが、けっこう崩れやすそうな岩に、大丈夫なのかと心配になる。そんなに雨は降らないのだろうが。
この記事へのコメントはありません。