バルセロナのカタルーニャ音楽堂とサン・パウ病院(スペイン)

バルセロナ旧市街ゴシック地区~カタルーニャ音楽堂

スペイン・バルセロナには「アントニ・ガウディのライバル」と呼ばれた建築家がいる。2015年、バルセロナで「ガウディ巡り」の途中、ここだけは見ておきたいと思って、行ってみた。
旧市街ゴシック地区の一角に、赤レンガの建物がある。「カタルーニャ音楽堂」は、その外観からして、周りにある古そうな建物を圧倒していて、そこだけ異空間に見える。


9時からのガイドツアーに参加した。チケットを買ってから時間があったので、まず外壁(ファサード)を見て回った。
1階には花の模様が装飾された太い柱。モザイクで飾られた穴があいていたので見たら、ここもチケット売り場だった。
上の階は、と見上げると、モザイクの柱や人物の彫像などが見える。バッハやベートーベンら音楽家の胸像も飾られている。

音楽にまつわる装飾の外観

建物の角には人物を中心にした彫刻。1905年に最初の建築石材が置かれた日を記念してカタルーニャの守護聖人サン・ジョルジュが旗を持って立ち、その下にはカタルーニャの人々を表情豊かに描いている。建物全体を船に見立て、角が鋭角なので舳先、両手を広げた女性を船首飾りにしている。


建物正面上部は朝日が当たって光っていたこともあって見にくかったが、壁一面にモザイクで女性たちが歌っている背景に、カタルーニャの旗と聖地モンセラートの山並みが描かれている。道の反対側の建物の上階にいかないとちゃんと見られないだろう。

ガウディのライバルは師匠モンタネール

この音楽堂、1908年2月9日にオープンした。造ったのはリュイス・ドメニク・イ・モンタネールという建築家。ガウディの2歳年長で、1888年バルセロナ万博で名声を得、バルセロナ建築学校の先生をしており、ガウディは教え子だったという。
19世紀末に起こったスペインの「モデルニスモ芸術」の第一人者は実はこの人。あまりに突出した建築を次々と発表したガウディの陰に隠れ、仕事も持って行かれたそうだ。後に国会議員を務めた。
さて、中に入った。まず、成り立ちをまとめたビデオを見せられる。英語ツアーしかなかったので心もとないが、何となくは理解したつもりだ。
説明が終わると各所に案内される。エントランスホール、壁や階段の手すり、そうそう天井を見上げることも忘れないようにしたい。いたるところにバラの彫刻がしつらえられている。


コンサートホールを上階から見た。全体が目に入った瞬間にたぶん息をのむと思う。ホールの両側に大きなステンドグラスになっている窓があり、モザイクを施した柱、ペガサスをはじめとした動植物の彫刻、天井に届く左右のランプシェードは花の形、天井中央は女性の顔を描き込んだステンドグラスになっている。


「自然の光を取り入れるために、窓を大きくとっています」というように、コンサートホールは暗いものだと思ったが、室内にして野外の感じ。そして、どうやらこの音楽堂のテーマは「花と女性」のようだ。

花と女性を意識した建築

1階客席に降りる。ステージが豪華だ。カタルーニャ独立主義者だっただけに、ステージ中央にはカタルーニャの紋章。左右には9人ずつの女性がさまざまな楽器を弾いている女性の彫刻が飾られる。


上半身は石の彫刻だが、下半身はモザイク。壁から上半身だけ突き出している。音楽を聴く前に、これを見て観客はまずびっくりするだろう。


中央上部にはパイプオルガン。自動演奏をできるので、ガイドが1曲聴かせてくれた。いまも年間300回以上のコンサートが開かれ、50万人以上が来るという。

ステージには女性たちが美を競っているが、ホールの壁や柱には様々な彫刻、音楽家や動植物などで埋め尽くされている。ガウディ建築とは趣が違う。

次にステンドグラスで飾られた控え室に行き、外にでるとバルコニーになっている。外から見上げたモザイクの柱が14本立っている。間近で見ると、モザイクはすべて花がモチーフになっている。


モンタネールは花と女性と決めたら徹底的に花と女性なのだろう。ガウディの建築のようにデフォルメされておらず、見た目がわかりやすい。
ガウディが自然を建築のテーマにしていたのは、この人に教えられた影響があるのだろうか。こだわりを強く感じた。柱のモザイクを見ていると、ガウディが作ったグエル公園のベンチや建物の天井を思い出した。

モンタネールの建築でもう1つ、世界遺産に登録されている「サン・パウ病院」。100年ほど病院として使用され、ステンドグラスや彫刻で癒しの空間をつくったという。
時間がなくて行けなかったが、今は内部も公開されているので足を伸ばしてみては。次回バルセロナに行けたらぜひ行ってみたい場所でもある。サグラダ・ファミリアまで一本道のところに対峙するように建っているという。このあたりにも、モンタネールのガウディに対する意識がみえるようだ。

1997年登録

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