歴史的城塞都市クエンカ(スペイン)

クエンカ~サン・パブロ橋~宙吊りの家~マヨール広場

切り立った崖、見上げると建物が密集している。天然の要塞そのままの街が、スペインにある。2015年、行ってみた。
駐車場で降りると、崖の上にある建物が日差しを浴びているのが見える。切り立っているが、上は平坦な岩山らしい。
1月に行ったので、かなり寒い。気温は5度。ただ、日差しが強いのか、街へと続く日なたの坂道を上っていくうちに汗ばんでくる。崖の下には川が流れている。街に入るには、橋しか手段がないようだ。

切り立った崖に張り付く家

「あの家が、クエンカ(Cuenca)では有名な宙吊りの家(Casas Colgadas)です」とガイド。切り立った崖の端に、崖に沿うように家が上から下に伸びている。確かに、遠目には宙吊りというか、崖肌に建物は張り付いているように見える。

右手に「旧サンパブロ修道院」といういまはホテルになっている建物を見ながら、ウエカル川にかかるサン・パブロ橋という鉄橋を渡って崖の上に向かった。


橋の上から眺めると、右手の崖の上には六角形の屋根の「サン・ペドロ聖堂」が見える。

崖の上に建つサン・ペドロ聖堂

宙吊りの家に近づいてくる。どうなっているのか、仕組みが分かってくる。崖の上にちゃんとした建物がある。その崖側にむき出しになった地下室のように建物が下に造られている。


何階建てかよくわからない。「丘の上に街側をむいている方は3階建て、崖に伸びているのは10階というものもあります。宙吊りになっているわけではなく、一番下の階は岩の上に乗っていますが、3軒だけは空中にあります」という。
ちょうど、椅子に座ったときに、膝から下の部分が「宙吊り」の部分に当たると思っていいだろう。


崖の上に作られた街だけに、敷地は限られている。最盛期には1万6000人がひしめき合って住んでいたというから、そのための工夫でこんな奇妙な建物になったそうだ。

2つの川に挟まれた天然の要塞

「城塞都市」と呼ばれるように、このクエンカは9世紀ごろに当時スペインを支配していたイスラム教徒が、軍事目的で要塞を築いたのが始まりだという。
12世紀初めにキリスト教のカスティーリャ王国がこの地を奪った時には、崖の上に街が出来上がっていたという。そのまま城塞都市として発展した。

橋を渡って左手に見えた「宙吊りの家」の山側に来ると、3階建てになっている。崖側は少なくとも5階建てだったので、2階分は崖の下に伸びているということなのだろう。


崖の上の旧市街には教会をはじめとしたキリスト教関連の施設が作られたという。崖の周りを流れるのは2本の川。フカル川とウエカル川に挟まれている。川に崖、天然の要塞になる。今の市街地は崖の下にも広がっていった。


街の中に入る。「マヨール広場」というのが街の中心にある。ここには「クエンカ大聖堂」や「市庁舎」など、主要な建物が広場を囲んでいる。
クエンカ大聖堂は13世紀半ばにモスクの跡に建てられたゴシック様式の建物で、広場に面している立派なファサードは20世紀になって造られたもので、未完成だという。聖人像は1つあるが、たぶんファサードの一番上に飾られるキリスト像やマリア像もまだなかった。

クエンカ大聖堂

市庁舎は18世紀のもの。修道院や教会が多く、中世の街並みふうなのだが、比較的新しいもののようだ。マヨール広場の周囲は瀟洒な建物が軒を並べている。

マヨール広場と市庁舎

街の奥に進むと、廃墟のような遺跡に出る。時計塔がまだ立っているが、かつてのユダヤ人街で、いまは街を見下ろす展望台になっている。


ここから崖の端にずらりと並ぶ建物が一望できる。こうして見ると、崖の縁にずらりと並ぶ建物が、城壁の役割を果たしているようにも見える。


旧市街をブラブラと歩いて戻る。神学校や教会などが路地に並んでいる。石畳の道、崩れかけた建物、この街の歴史が路地に詰まっている。


「配線通り」と名づけられた、電気などさまざまな配線が通っている道もある。建物は外壁を彫刻で飾るなど、きれいなものが多い。高くても4、5階、高層なものは見なかった。

さりげなく立っている教会や修道院の外壁の彫刻などを眺めながら、崖下へ。もう一度、奇妙な都市を見上げてみた。

1996年登録

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