ルアンパバーンの街・下(ラオス)

 

腰のあたりに下げている鉢に、イスに座った人たちから蒸し米やお菓子など食べ物を入れてもらう。手引きカートに大きな入れ物を積んだ僧侶が同行していて、各自の鉢がいっぱいになるとその入れ物に回収していく。

静かに整然と托鉢が行われ、列は長いがけっこうすぐにお坊さんたちは通り過ぎて行って終了、となる。

ある寺院に行ったときに、修行している通いの小僧さんと思われる子供たちが、托鉢のお菓子だろうか、袋いっぱいに持って帰っていった。托鉢でもらったものは、子供も関係なく、みんなで分け合うのだろうか。

世界でも認められた満足度の高い街

托鉢を見た後、ホテルに戻る途中に地図でみつけた2つの寺院に寄った。「ワット・アハム(Wat Aham)」は、参道にある大きな木の下に金色の仏像が置かれている。境内にある2本のガジュマルの木には街を守る夫婦の聖霊が宿っているという。

 

ルアンパバーン様式の初期の1527年建立で、1818年に一度破壊されて修復されたという。ルアンパバーン独特の屋根の形が始まったころの寺院ということなのだろうか。本堂の中にも金の仏像が安置されていた。

ワット・アハムの境内から小さな門をくぐると、隣にある「ワット・ヴィスンナラート(Wat Wisunarat)」に行ける。ルアンパバーンに現存する最古の寺院といい、1512年に建てられた。屋根の形をみると、ルアンパバーン様式になる前の形をしているようだ。

本堂の前には、仏塔(ストゥーパ)がある。こちらも古そうだ。ボールを半分に切って乗せた感じ。ラオス語でスイカ寺という意味の「ワット・マークモー」とも呼ばれているそうだ。

ネット情報によると、ルアンパバーンは英国の旅行雑誌の「満足度の高い観光地ランキング」で、1位を合計7回獲得しているという。忘れてはいけないのは、世界遺産に登録されているのは「街並み」。寺院だけではなく、フランス植民地時代のコロニアル様式という建物が今も現役で、街全体をおしゃれにしている。

 

中国からの高速鉄道が通り、観光客が増えているそうだが、住む人も含めて街全体が落ち着いた雰囲気で「観光地ずれ」していない印象もある。

郊外には、市街地から1時間ほどのところにある、2025年11月にラオスに初の海外公式訪問をした天皇・皇后両陛下の長女愛子さまも訪れた「クワンシーの滝」など見どころもある。ただ、市内は歩いて回れるが、郊外に行くには交通の便が悪いので、個人で行くときは現地ツアーに入るか、乗り心地は保証できないが、市内のいたるところで客待ちしているトゥクトゥクを交渉してチャーターするか。いずれにしろ物価はまだそう高くはない。

食事はもち米が主食で、料理の味付けなども日本人の口に合う。竹籠に入ったもち米を食べたが、何もおかずがなくても十分のおいしさに、もち米ってこんなだっけ? と思った。食べられなかった食材もあるが、それはどこの国に行ってもあることだ。景観だけではなく、物価や雰囲気など含めて確かに「満足度」は高い街だった。

1995年登録

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