シルクロード:長安-天山回廊の交易路網(中国) 西安(長安)

西安市内~大雁塔~城壁~夜の大雁塔

日本の奈良、平安時代の平城京、平安京のモデルとなり、遣隋使、遣唐使などが派遣されたかつての中国古代王朝の都・長安。今は西安と呼ばれる、欧州まで続く交易路、シルクロードの出発点(終着点)となった街に2013年、行ってみた。

2300年以上前から現在の西安とその近郊には、古代中国のさまざまな国の都としての街がつくられてきた。紀元前4世紀に秦の始皇帝が都を現在の西安近郊の威陽に定め、聖徳太子(厩戸皇子)が遣隋使を派遣した607年には、隋の首都として現在の西安の原型ができていた。唐代を最後に都ではなくなったが、清代に西安と呼ばれるようになった古都で、長安をモデルとした今の京都のような感じだろうか。

世界遺産になる前年だったので、西安に行った主目的は兵馬俑坑と始皇帝陵を見るためだった。西安市内巡りツアーで「大雁塔(だいがんとう)」に行った。

年期が入った黄色い色の塔

大雁塔は7世紀に唐の第3代高宗が建てた。西遊記の三蔵法師のモデル、玄奘がシルクロードを使って西域に行き、長安に持ち帰った経典や仏像を安置するために、インドの塔婆をモデルに5層の塔を建てたのが始まりだという。

シルクロードは、諸説あるらしいが、長安を発着点として中国からアジア内陸部の砂漠地帯、草原地帯などを抜けて中東、最後はローマへと続く古代の交易路。世界遺産になった長安(西安)から伸びる天山回廊のほかにも複数あったとされる。

奈良時代に建てられた東大寺の正倉院には、西域の交易品が多く収めてあり、日本がシルクロードの終着点ともいわれている。

広場のようなところから、大雁塔に向かって歩く。「大慈恩寺」という高宗が母のために建てた寺の境内にある。広場から階段を上がると大慈恩寺にある「大雄宝殿」という額がある門をくぐる。

大雁塔は一時10層まであったが、現在は7層64.5メートル。高台に建っているので、もっと大きく見える。基底部は25メートル四方。ぐるっと1周してみた。

「元々は灰色のレンガで造られていました。黄砂で、今は黄色っぽくなっています」とガイド。ここに来る前は、写真などを見て黄色い色の塔だと思っていたが、違ったらしい。

大雁塔には上ることができる。「螺旋階段になっています。般若心経の文字数の268段あります。行ってみますか?」とガイドに促されて、上ってみた。

これがやはりハードだ。頂上目指して、とにかく足を運んだ。最上階にいくと、そんな汗をかいた甲斐がある光景を目にできる。西安市内が一望できる。ただ、春だったので、黄砂や排気ガスなどでかすんではいるのが少し残念だが、いい景色と風は気持ちがいい。

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