エレファンタ石窟群(インド)
「ポルトガル人は、この洞窟を射撃場に使っていました」とガイド。異教の像、彫刻に向かって撃っていたというので、破損している像、彫刻が多い。
大航海時代から植民地時代にかけて、キリスト教の欧州各国はこうした「破壊」を世界中で無数にやっている。当時のキリスト教布教に関わった人たちはイエスやマリアの像が銃撃されたらどう思うだろう。想像力が足りない。シヴァ神の「破壊」とは意味が違う。
石窟は四角く造られている。ホールの右寄りに中央神殿がある。まずは壁面を見るために、時計回りに回った。
左のテラスの左柱には「ラヴァナ・シェイキング・カイラーサ」の彫刻。シヴァ神の住むカイラーサ山でのラヴァナという悪魔との戦いを表し、板のようなカイラーサ山の下には持ち上げて山ごと持っていこうとするラヴァナがいて、上に乗ったシヴァ神が押さえている。
その向かい側の右柱には「ゲームをするシヴァ」の像。「すごろくのようなもので、サイコロでゲームをしていて、負けたパールヴァティーが逃げていく様子です」と、少しコミカルな彫刻になっている。
破壊と創造の神は何にでもなれる
入口の反対側、奥の壁面には3つの場面が並んで描かれているのが、第1窟のハイライトでもある。
左側には、左胸にだけ乳房があるシヴァ神。「ナーリ(女性)・ナティ(男性)・シュワラといいます。ブラフマーが人間をつくるのをやめたときに、人口が増えなくなって女性をつくらなかった間違いに気づいて女性をつくった。シヴァはその半分が女性に変化した」(ガイド)という神話があるらしい。
銃弾にやられていないきれいな像が中央にある。「マヘッシュ・ムルティ」というそうで、3つの顔を持つシヴァ神。「右は女性的な顔で平和、左は破壊者、中央は穏やかな顔で調和を表しています」とガイドは説明した。
奥の右側には、ガンジス(ガンガー)の物語。「ガンジスはシヴァの髪の毛になって頭に住んでいます。強い人を表しています」とガイド。シヴァ神の右に女性として描かれている。
左上にブラフマー神、右上にヴィシェヌ神が描かれ「左下にシヴァの妻のパールヴァティーが怒った表情なのは、別の女性と一緒だから」と、ガイドは笑った。
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