古都奈良の文化財(日本) 春日大社

奈良駅~春日大社表参道~春日大社

奈良公園といえば、鹿。鹿せんべいを持っていなくても寄ってくる。持っていたら、大勢に囲まれて大変だ。なぜ鹿があんなにいるのだろう。その理由はこの神社にある。2016年、行ってみた。

20年に一度「式年造替」のさなか

近くに仕事で来ていた時に、20年に一度行われる「式年造替(しきねんぞうたい)」が行われており、「御仮殿特別参拝」ができることをネットで知った。もう生きて見られないと思い、雨だったが立ち寄ることにした。
式年造替は既に始まっており、2016年11月に終了している。伊勢神宮では「式年遷宮」が行われるが、社殿(本殿)を新たに移し替えるのが「遷宮」、社殿の場所はそのままでいったん別の場所に移ってもらい(遷座)、改装、改修してきれいにしてから元の社殿に戻ってもらうのを「造替」というそうだ。
JR奈良駅に降りたときは、3月の冷たい雨が降っていた。バスに乗って奈良公園内にある春日大社表参道で下車、傘をさして森の中を「御本殿」まで足早に歩いた。「南門」をくぐって、御本殿に入る。


入ると正面にあるのが「幣殿」。パンフレットによると、859年創建で、通常は参拝所として使われているという。

幣殿

幣殿の右に「特別参拝」の受付があったので、そこにまず行った。雨だったこともあるのか、並んでもおらず、特別参拝料500円を払って中に入る。
右手に「伊栗神社」(安産の神)、「穴栗神社」(幸運の神)、「辛榊(からさかき)神社」(交渉をまとめる神)、「青榊神社」(争いを解決に導く神)の4つの社を見ながら階段を上る。

辛榊神社【右)と青榊神社

階段から見上げると、朱色の立派な建物。式年造替で真新しくなった「中門」。この門の向こうに御本殿がある。ちょうど梅がきれいに咲いていた。

階段を上ると、「手力雄(たちからお)・飛来天神社遥拝所」がある。すだれがかかっていてよく見えない。ちなみに、手力雄神社は「勇気と力の神」というのは分かるが、飛来天神社は「空の旅の安全を守る」とあった。奈良時代に空を飛べた? 神だから飛べるか? と思いながら手を合わせてきた。

手力雄・飛来天神社

パンフレットの地図によると、壁伝いに少し離れところに「影向門」があって、いったん外に出ると山藤の名所と「御蓋山(みかさやま)浮雲峰遥拝所」という禁足場所に出られるのだが、雨で視界が悪いのと藤の季節ではなかったので行かなかった。重要な場所だったのを後で知る。
中門の壁伝いに右から左に歩いていく。軒先? には燈籠(とうろう)がぶら下がっている。直江兼続や宇喜多秀家ら戦国武将、徳川綱吉といった人の名前を見つけた。

神は鹿に乗ってやってきた

春日大社は、今から約1300年前、奈良に都(平城京)ができたころに創建された。神話の「国譲り」を成就させた神、武甕槌命(たけみかづちのみこと)を鹿島神宮(茨城県)から迎え、降り立ったのがさきほどの御蓋山山頂だったという。
この神が乗ってきたのが神鹿。鹿は神の使いなので、奈良公園では手厚く保護されている。
768年に称徳天皇の勅命でこの地に4つの社をたて、第一殿に「武甕槌命」、第二殿に香取神宮(千葉県)から「経津主命(ふつぬしのみこと)」、第三殿に枚岡神社(大阪府)から「天児屋根命(あめのこやねのみこと)」、第四殿にその后神の「比売」(ひめ)神」を招いて鎮座した。それぞれの神については他に譲る。
日本各地の偉大な神様を集めた強力な力で、世界の平和、日本の繁栄、国民の安寧を守っている。
中門を過ぎていくと「一位橋」という説明板。そこが開いていて、造替中の御本殿、4つの社が見えた。「春日造」という建築方法で、朱色が雨の中でも鮮やかだ。

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