
オリンピア(ギリシャ)

博物館のニケ像
古代競技者と同じフィールドを走る
ニケ像を過ぎると、いよいよ「スタジアム」に入る。「反響廊」という細長い建物に沿って歩いていくと、石のアーチの入口がある。

細い通路を行くと、細長いグラウンドに出る。ここがスタディオン走など現在の陸上系の競技が行われた。

スタディオンは当時の長さの単位で、地域によって少し違うが、オリンピアでは1スタディオン=192.27㍍。当時のものかはわからないが、スタートの位置に細い2本の溝がある大理石が埋められている。

ここに来たほとんどの人が、このスタートラインに立ち、当時やっていただろうと思われる、2本の溝につま先をそろえて、上半身は「クラウチングスタート」でスタジアムを走っていく。私も30㍍ほど走ってきた。2004年のアテネ五輪では、ここで陸上の砲丸投げ種目が行われた。

聖火を灯す最古の神殿
スタディオンを出て、宝庫群や祭壇跡などを見て行く先に、いよいよ「ヘラ神殿」が見えてくる。「オリンピック聖火」が灯される神殿。2020年東京オリンピックの聖火は、2020年3月12日にこのヘラ神殿で採火された。
オリンピックに聖火を灯すのは古代オリンピックでも行われていた。ガイドブックなどによると、プロメテウスがゼウスから火を盗んで人間に与えたというギリシャ神話に基づき、ゼウスへの感謝の意味でゼウス神殿やヘラ神殿に火を灯していたという。

ヘラ神殿で採火したかは分からないが、ヘラ神殿は紀元前7世紀に建てられたギリシャでも最古級の神殿だから、現代の採火式の会場になったのだろう。太い柱がいまも立っている。

ヘラ神殿とヘラの祭壇
実際の採火式は非公開で女性のみで行われる。巫女が凹面鏡で太陽光を集め、トーチに採火する。その様子が、ヘラ神殿前の説明版に書かれている。

ちなみに、オリンピック大会期間中に聖火が初めて灯ったのは1928年アムステルダム大会。1936年ベルリン大会から聖火をオリンピアで採火し、リレーするようになった。日本に聖火が灯されるのは、夏冬オリンピック合わせて4回目になる。

この神殿からは「幼いディオニソスを抱くヘルメス像」が発掘されていて、博物館にある。古代ギリシャ彫刻の名作とされる。
博物館を見逃さないで
最後に、円形の「フィリペイオン」。紀元前4世紀にマケドニア王フィリプス2世が奉納した建物で、アレクサンダー大王が完成させたという。柱が円形に立てられ、原形をとどめている。

ここを抜けると、初めに見たパレストラのところに出る。3時間以上かかった。道を引き返して、入口(出口)を過ぎ、5分ほどまっすぐ行くと「オリンピア考古学博物館」にでる。
先に紹介したものもあるが、オリンピアで発掘された、彫刻や武器、陶器などゼウスら神々への捧げられた遺物が展示されている。「ゼウスとガニメデス像」など名品も多い。見逃さないで。

博物館のゼウスとガニメデス像

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